フィルム写真しかなかった頃のこと。
カラー写真が普通の写真として定着していた頃であったが、
個人の家でフィルムの現像、印画紙への感光、現像、定着なども比較的小さな設備で可能だった。
風呂場でもできた。
伯父がそんな設備を持っていて、何度か現場を見せてもらったことがあった。
わたしは中学生の頃、写真部の設備を使って、
白黒写真を焼けるようになっていた。
伯父の設備を思い出し、話をしてみた。
親戚に譲ったが、多分使っていないと思うので、話してみようかというのだった。
結局、その人が使っているから、譲ることはできないとの返事だった。
あの当時は、そんなはずはないだろう、ケチだなあ、などと思っていたのだが、
いまから思えば、そんなことに時間とお金をかけないで本当によかったと思っている。
他人のケチに感謝。
万事塞翁が馬である。