高橋たか子「怒りの子」

「高橋和巳の思い出」を読んだ思い出がある。
カトリック的体質については興味があり、しかし馴染めないでいる。
今回は「怒りの子」を手に取ってみた。

やはり馴染めない。
カトリック系の著作については嫌いではないので、
高橋たか子氏と私との感覚というかアプローチというか、何かが違うのだろう。

解説部分に、
自分の思うことが「つつぬけに見えてしまう」、
「お姉さんから何かが来る」、
「自分が、自分ではない者に、身を明け渡していく」などの言葉が見える。

これらは、言葉の類似だけからいえば、まさに統合失調症の描写の語る言葉と似ている。

そして考えてみれば、宗教的体験、神秘的体験というものは、
統合失調症と似た方向を向いている。
超越者との超越的な体験である。
神秘体験と統合失調症体験の区別ができるものなのか、あるいはできないのか。
多分、語る相手を選べる者は病者ではないのだろう。