新潮美術文庫16「ゴヤ」というのが図書館にありまして、
昭和49年発行、平成6年8刷とのこと。
せっかく堀田善衞ゴヤを読んだので、カラー図版で見たいと思い、
ぱらぱらめくった。
ひどい。
作品6。
1794~5年の作、魔女の集会。
解説の一部に、集う者たちは快活、楽しげな感じ、装飾性なんて書いてある。
著者は上智大学教授という人。
まさか。
だって、不快で、陰鬱で、堀田は、どうしてこんなものを壁画に描いたのか、
気が知れないとまで言っているのに。
全体に作品の選び方が不出来。まあ、美術館とか所有者との交渉もあるんでしょうか。
そんなものかなあと思いつつ、巻末の年表を見る。
1802年アルバ公夫人死去、40歳。
記事には、「毒殺説がひそかにつぶやかれた」とある。
教授、これはあんまりです。
学生に作らせたのなら、一回くらいは読んでください。
出版社に作ってもらったのなら、一回くらいは読んでください。
「ひそかにささやかれた」と普通に言えばいいのだと思います。
というような次第で、墓場のゴヤも的はずれな賞賛に困っているだろう。
結局、人類の文化に深く付き合う気持ちも失せる。
新潮社さんは、何も感じないんでしょうか。