敷き詰める花びら

音もなく散り
音もなく地を覆い
音もなく風に捲かれ
音もなくただ去る

去年の鎌倉
その桜は今も私の心の中にある
経験は消えることがない
私は成長はするかもしれないが消滅することはない
そしてその延長は永遠なのだ
今の一瞬を生きているということは
過去も未来も生きているということだ
だとすれば現在から過去への矢印は存在しているはずだ
同様に過去から現在への矢印が存在するから
現在の私は過去を思うはずだ
高輪の桜も消えることはない
経験は微弱な電磁波となり、宇宙空間に瀰漫する
消そうとしても消せない
忘れようとしても忘れられない
そのような絶対的なものとして存在している