21世紀仏教の旅シリーズの第四集。
禅をテーマにフランスと中国を訪ねる。
個人的には精神的にとてもつらい時、
それは二十歳の時だったのだが、
紀野一義の
NHKブックス No.35
禅 現代に生きるもの
という本がとても参考になったというか、
慰めになった。
一面では、慰めと言うより、
腹の底から虚無を悟れ
ということだったとも思うのだが。
思い返せば、人生の中で何度も思い屈する時はあり、
20歳、25歳、29歳、その後はちょこちょこ、
そんなときどのようにして自分が切り抜けてきたか、
思い返してみるのだが、
何も解決はしていないのだ。
ただ目先のことに関わり合って、
忘れているだけなのだ。
私にとっての禅のイメージがまずこのようにあって、
今回の番組を見た。
フランスでの受容は、新しい宗教体系を、カトリックに対立する形で、
新しく受け入れようというものではないとのことだった。
むしろ、生活態度として、精神と身体の修練のひとつとして、
心身を整える方法として、受け入れられている面があるとのことだった。
禅の導師は、カトリック教会で座禅を人々に紹介し、
禅を紹介しに来たのではなく、
皆さんの信仰が深まるようにやってきたと語る。
物質文明に対する精神文化の復権、
あるいは
ヨーガなどと同じような、修練の方法、
そのような側面がある。
それでいい。仏教も禅も、そのような面が確かにあると思う。
中国では、文化大革命を経験した人々に語ってもらっている。
そして達磨、六祖慧能(えのう)の紹介をしている。
慧能は実にフレンドリーな人らしく、
きつい修行なんかしなくていい、
もともと仏性も悟りも備わっているのだから、
ただそのことに気付けばいい、とまで語る。
すばらしいことだ。
このような人も是非いて欲しい。
煩悩など気にしなくてもいい、
そんな主体はもともとないのだから、
汚れようもないのだ、
気に病まなくても、よい。