幸運は二度起こるのか?

会社をもう一度始める場合でも、

これまでのノウハウや人脈があるのだから、

ゼロからはじめるよりも簡単ですよね、なんて

言われてしまう。

そんなこともないのだがなと思いながら、

うんうんと話を聞いている。

そして、励まされたよ、なんて感謝もしてみせる。

心の中では、うつの人が励まされるときは、こんないやな感じなんだなと思っている。

場所を作り、人を組織し教育し、他社との関係をつくる。

まあ、会社とはおよそそんなものだ。

その一つ一つにどんなに偶然が関与しているかと、

遠い気持ちで思うのである。

第一回目、気持ちがフレッシュなうちには、こちらも必死だから、

相手の心を動かすということもある。

必死だから、偶然の幸運を呼び込めるということもある。

こんなことをいうと科学的ではない思考のように思えるだろうが、

いまの私の正直な気持ちは、これである。

二度目や三度目で、

幸運を引き出せるとは限らないのではないかと思うのだ。

さらに、人脈があるとは言いながら、

社会の中に生きていればライバルもいるし嫉妬もある、

よい評価ばかりではないことが一つの問題点である。

ゼロからの人間関係はゼロ+期待であるが、

既存の対人関係は、プラスもあればマイナスもあるわけで、

それはちょっとやりにくい感じもあるのだ。

特に一回目でかなり無理をして敵も作ってしまったのであるから、

難しいところもある。

ここまで書いてきて、やはり私は弱気になって臆病になって億劫になっていると感じる。

やたらにから元気を出しているのも間違いだけれど、

理由もなく臆病になっているのならばかばかしいことだ。

一回目で幸運を呼び込んだのであれば、

二回目はその幸運の感覚を持っているのだから、

もっと上手にできるかもしれない。

あるいは、待つことができるかもしれない。

二回目なのだから、少なくとも成功の水準を知っているはずだ。

そして、その水準に達しなかったならば、

さらに工夫する、さらに時間をかける、などで対処できるはずである。

一回目の成功を次回に生かすとは、そういうことだ。

一回目の幸運が二回目も起こるとは限らないわけだけれど、

幸運を当てにしていても仕方がない。

強みは、私は何が幸運か知っていることだと思う。