オーデン「新年の手紙」

風呂本武敏訳。

いやー、参りました。

詩を読んでパッと頭に灯りがつくような詩ではないです。

たとえば、訳詞の世界でも、アポリネールとか、

堀口大学の「月下の一群」とか、そんな感じで分かるものではないようだ。

分かろうとする人のために、

オーデン自注、訳注がたっぷり掲載されている。

これがまたすごいです。

自注の中にはおびただしい引用。

ウィリアム・ブレイク、イェイツ、などこれまた分かりにくい人の言葉を引用されても、

ますます分かりにくいのだった。

他に、ニーチェ、ミード、キルケゴール、リルケ、シェイクスピア、キプリング、

コリングウッド、カフカなど。なかなか難物。

この手のものを翻訳するのは極めて困難である。

無難に、几帳面に既訳文献を引用しているが、断片により意味を正確に

伝達することは難しいのだ。

断片を自分なりに翻訳したいと思ったに違いないが、

多分、放棄したと思う。

大学の先生だから、講義の準備として、

一つ一つの引用について、翻訳をあたり、引用したものだろうけれど、

理解するには、引用部分周辺をさらに理解する必要もあり、

なかなか困難である。

少なくとも時間と覚悟が必要である。

というようなわけで、

理解のハードルは高く、

感動のハードルはさらに高く、

私のような無教養な人へのオーデン導入の書が必要である。

オーデンと、ブレイクについて、初心者への導入書を強く要望する。

ブレイクについては、版画を見ながら読んでも、なお難しい。

霊感がなければ無理なのか。