大江健三郎「話して考える」と「書いて考える」14

○考えるというのは、つまり言葉で考えるんだと気がついた。

●そう、だから、言葉を使わないで考えるということがどういうことなのかも、知りたいものだ。それは思考とは呼べないかもしれない。直感といった方がいいのだろう。考えるといえば不正確なので、言葉によらずに、結論を出す、その方法ということになるだろうか。

●深く理解する時は、図示できる時だとの印象がある。解説書でも、図解方式は分かりやすい。

●考えるからよい選択ができているのだとも思わない。何も考えずにいい選択ができているのかもしれず、考える過程はそのあとに発生して、すべてを追認しているのかもしれないのだ。無意識の研究はそういうことになる。

○相手を説得できなかった時、一人になってから、紙に書いてみる。

●そのようなことができるならば、かなり誠実なのだと言えるだろう。