私の周りでは、
高貴な者ほど沈黙を守り、静かに暮らしている。
派手な得もしていないが、
静かにじわじわと長期的に得をしている、
そんな感じだ。
支配の中心部に行くほど、
給料もたいしたことはないし、
変な接待も受け付けていない。
地位としても、世間には分かりにくい地位なのである。
教育はおおむね厳しい。
親が何であろうと、自分で自分の基礎を築けという態度である。
意見はとてもまともで、
岩波や朝日よりもリベラルな感じさえする。
精神的には最大限の自由を、
経済的には、最大限の平等を、という感じである。
そんな人たちが、たいして注目も浴びず、
大金を手にすることもなく、
静かに暮らしている。
彼らはブログなどは決して書かない。
意見の表明などめったにしない。
大変な教養があり、
ユーモアもある人たちで、
話していてありがたくおもしろい。
しかし、自分を人の目にさらしたりしない。
それは理由のあることである。
売文業など、若い頃にはあこがれても、
分別のつく頃には、彼らの自由の、範囲外のものとなる。
語っていはけないことを取り扱いながら、
何もなかったかのように、静かに生きている。
偉くなるとか金持ちになるとか、そんなこととは別の価値観である。
偉くなる人とか金持ちになる人の、
性格のいびつさを敬遠していると言えばいいのだろうか。
しかしやはり充分に報われている、
幸せな人生である。
何かのときに頼りになるのは、
やっぱりこの人たちなのだと思う昨今である。
生まれかわったら、
彼らのようになりたいと思う。