健康というサブタイトルのついた記事。
45歳の女性は、健康食品、水、サプリメント、その他に、
月に14万円費やすという。
プラセンタ、マイナスイオン、高周波を出すオルゴール、磁気が入るリング。
血液クレンジングは一回3万円。2週間に一回。
一回3万円というのは、ある種の出費のスタンダードではないだろうか。
推計では、00年にサプリメントなどの健康食品市場が約1兆円、
2010年には3兆円を超すという。
アメリカはこの面で深く進行していて、民間信仰もあり、巨大サプリ産業があり、
宗教各派も積極的である。
多分、アメリカはこの面でも、売りつけるつもりなんだろう。
3兆円のうちどの程度がアメリカに流れるか。
そしてそのときどんなCMが流れるのか、見ものである。
消費者を層別に区切り、それぞれにアプローチする手法はすでに確立しているようで、
おもしろいようにはまっている。
どんな水を飲んでいるかということ、
どんな健康食品、サプリ、健康法を信じているかということは、
その人がどのような文化層に所属しているか、よく示す指標だと思う。
ある地方に住んで農業を営み、ワインまでつくるという生活スタイルを切り売りしている人が、
健康問題で、あるお医者さんのある特殊療法のために、はるばる通っている。
非標準で、エビデンスがない、高額の施術というものが、
医療を侵食する。
治療を標準化することは患者さんの役に立つようだけれど、
標準が決定されたときに、非標準が生まれ、保険外高額自由診療が発生する。
「保険はききませんが、効果はかなり高いです」なんてお医者さんがセールスマンになるのだろうか。
歯医者さんがすでにそうだからな。
保険適用をなるべく広くしておいて、
医師の裁量権を大きく認めることで、
むだな出費から患者さんを守ることができたら一番いいのだろう。
専門知識のない人に、専門知識のある人がセールスをするということはねある種の
モラルハザードを含んでいる。
無駄な検査を薦めるみたいな感覚で、無駄なサプリと特殊療法を薦める。
おそらくそれは少なくて、
大量宣伝される物品について、医師が苦々しく思いつつ、あまり強く禁止もできない、
そんな風景になるのではないだろうか。
患者さんは、通院を一回減らして、その分で、健康食品を買いたいと言い出すだろう。
もちろん、病気がこじれてしまったときに面倒を見るのは、医師であって、
健康食品会社ではない。
これも医師の反感を買う理由のひとつである。
最後まで面倒を見るならそれはそれで一貫性があるけれど。
こじれたら医者、お金が払えないなら医者、そういわれても、困るだろう。