朝日夕刊に
小学校の国語で扱う「ごんぎつね」について記事があった。
国語の先生の話では、とても大切な教材とのことで、
日本中の小学生が一度は読むのだという。
たしかに、私の場合にも強い印象を残している。
一度はいたずらが過ぎた。改心して、よい行いをした。
しかし撃ち殺されてしまう。
その報われなさが気になって、小学校の先生をしていた人に尋ねたことがあった。
その先生によれば、最後に青い煙が立ち昇る、そこに余韻があり、意味がある、
みたいなことを言っていて、何のことだかよく分からなかった。
先生自身もよく分からず、余韻がある、なんて言って、お茶を濁しているらしい。
でも、その報われなさが人生の実相なのだろう。
それでいいのだ。
そのほかにも、子供向けの話の中には、
こうした報われなさがむき出しのままで提示されているものがあると思う。
なかなかハードボイルドなのだ。
改心してどんぐりをひそかに運びつづけたごんぎつね、
もしもあの世があって、
あの世で報われていたら、
幸せなのになあと思うのである。