DVの周辺について 最近の経験

2008-2-18(月)
2-8の朝日新聞朝刊22面。「DV防止 逆風に反発」との見出しで記事。

いろいろな側面があるが、夫からまたは妻から相談を受けることもあり、その一面だけを紹介する。

家庭内暴力といってもいろいろなケースがある。
「妻が無理に夫の個室に押し入ろうとしたので、夫は内側からドアノブを引っ張っていた。その間に、妻はドアに体当たりしたりした。膝などをぶつけたらしい。その際に、妻は自分で膝の写真を撮って、あとで、これがDVの証拠写真だと言う。直接夫が傷つけたものではない。自分の部屋に入れまいとして、ドアを閉め切ったことで、妻が自分の筋肉の力で自分の皮膚に作った痣であるが、そんなものもDVと言われるのか」という相談である。
もちろん、DVとは言えない。
しかし、もっと広く考えて、そのような緊迫した場面があったことは事実。また、妻がほとんど自作自演で被害者を装うようなことをしていることも、かなり異常なことに属する。
DVか否かの判定としては否定的だけれど、夫婦間に問題があることは事実だろう。
また、妻は、ドアを閉められたことについて、「ニグレクト」だとの言い方もしており、夫は「一時避難であった」と語っている。
全体として、妻の異常性が目立っており、子供が生まれる前に分かって、
夫にとってよかったようなケースである。

別のケースでは、妻が子供を連れて、シェルターに行って、身を隠してしまった。
どこにいるか分からない、子供にも会えない。
反省すべき点があるのなら話し合いたいが、それもできない。
夫の両親と同居しているのだが、夫とその両親とも、特にシェルーターに行くような理由はないようだと語る。シェルターは調査機関ではないので、積極的に事実関係を調査することはない。シェルターに避難した妻が納得すれば、帰ることになる。

シェルター施設では、DVや離婚に関する資料があり、それらに、また人と接しているうちにいろいろと「学習」することもあるらしい。

「離婚を有利に進めるために、DVの被害者だと主張する」人も実は多い。
夫婦でもみ合いになったとして、そのあとで、自分はPTSDになったと主張する。
夫の顔を見ただけで、「また暴力をふるわれるのではないか、胸ぐらをつかまれるのではないか」と不安になるという。
このケースも、その背景にある夫婦関係のあり方全体を解きほぐすことから始める。

夫の立場にすれば、「DVではない」ことを証明する方法がない。
極端に言えば、「妻が、夫の目つきに異常な恐怖を感じた」という言い方もある。
「ある特定の仕草が自分を威嚇しているようで怖くて仕方がない」と訴えれば、それもまた、グレーゾーンのDVである。

一般に、夫婦が対立すると、口論の段階では妻の側が優勢で、言葉数も多いし、繰り返し言うし、細かいことまで記憶していることが多いようだ。言葉ではかなわない夫の側が、暴力に訴え、その結果、DV被害ということになる。
本来のDVというのは、もっと恒常的で病的で、激しい暴力を指し、骨折の写真とか、何とも骨折して治癒した後の写真とかが、証拠として提出されることが多かった。借金やアルコールとセットになっている場合も多い。
最近は、「妻が主観的に恐怖を感じたら」、それでDVの成立としているらしい。

同じことは夫の側にも権利があると思うのだが、そうなってはいない。

夫婦の言い合いの中で、妻が、意図的であるときもあるし、意図的でない場合もあるが、
夫の言い分を無視したり、曲解したり、話し合いにならないことがあり、
結果的に、妻の側の結論を一方的に押しつける例があり、
これに対して、夫の側は、合理的な反論では、対処できない。
この場合に、夫がたまりかねて「大声」を出したりすると、
妻に記録されて、性格異常者にされてしまう。
「大声で威嚇するタイプのDV」になる。
て、わたしは性格異常者でしょうか、DVでしょうか、とクリニックに来院する。
話を聞いてみると、異常を内包しているのはむしろ妻の側で、
夫は仕事もきちんとしているし、妻は仕事もしないで、ぶらぶらしている、
夫婦以外の対人関係も調査して、
そのような実態が判明してくる。
妻に来院を要請するが、もちろん、来ない。
そんな異常な妻に接するときは、誰でも、普通ではいられませんよと結論になるが、
夫婦生活は続き、生活費の請求は続く。
夫は、生活費の請求くらいですむならば、払いますから、わたしをひとりで置いて欲しいです、
精神的に耐えられませんと語る。

DV防止法は大切な法律だと思うが、その周辺部に、いろいろな問題が起きていることも、報告したい。