やさしい

歳をとると、何と言っても、やさしいのが一番うれしい。

精神的にも、やさしくて、安定していて、明るい人が、
何より好ましい。
自分のことだけで充分に不愉快だから、
他人の不愉快さまで背負いたくない。

予想される反応の内部だけで済ませて欲しい。
予想外のことは、歓迎しない。

肉体的にも、やさしい人が好ましい。
若い頃は、きつかったり、硬かったりする、肉体の特徴が好ましくもあったけれど、
もうそんなこともない。
ただやさしくて、ゆっくり、滑らかなのがいい。
心臓に悪いことを要求されたくない。

おびただしく反応する人もいるが、
もともと誰にでもそうなのか、わたしにだけなのか、分からない。
おびただしいのはなんとなくうれしいものだ。

つややかな黒髪がよい。
短くするなら、束ねて短くするのがよい。
ほどけばほどほどの長さになることがよい。

言葉がこまやかでやさしいのが、何と言っても、
一番、よい。
言葉の網の目が細かいほど、よい。

他人の感情の動きに沿う性質の人が、よい。
それも、やさしさである。

柔和、寛容、安定、そういった言葉に置き換えられるかもしれない。
観音様のイメージかもしれない。
わたしは救われたいのだ、きっと。