事務所から見える桜の木が二本あり、
いま、一本が咲き始め、
ここ二日でかなり開いて、
全体で六割程度だろうか。
染井吉野の色は薄いようでしかしよい色で
何度経験してもいいものだ。
もう何度も経験しているのだから
いまさらどうということもないようなものだし、
歳をとってきて、
感受性にも変化があり、
ますます、ただの桜に見えていいはずのものが、
ますます、しみじみと、ありがたいものに思える。
花屋さんに行ってもないのが
桜の花だ。
4月初めの頃は
日本の年度替りでもあり、
社会が変わる時期だ。
そのことも気持ちを不安定にする。
そもそも体が生物一般と同じく、
不安定になる時期である。
そのことも桜の賞味には関係している。
いろいろあって、やはり桜は特別なものなのだろう。
桜の木自体も、それぞれに成長し、老化しているのだと推定はするが、
去年と今年とでははっきりとは分からない。
桜の木の変化よりも、
人間の変化の方が大きい。
人同じからず。
歳をとることもひとつだが、
境遇の変化も、
思い知る。