医院継承について

ある情報

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医業収入1億8千万
月額賃料1,500千円

・開設してから16期目、医療法人設立後9期目のクリニック。
・理事長都合により、患者を含め継承を希望。
・理事長がビル所有、一棟貸し。
・営業権を含め、法人の売却を希望。建物については賃貸。
【営業権譲渡】:営業権 78,000千円 *相談可
【延床面積】:398.18㎡(総面積)
 B1:63.44㎡ 1階:62.26㎡ 2階:68.73㎡
 3階:66.29㎡ 4階:68.73㎡ 5階:68.73㎡

【医業収入】:平均175百万円程度
【決算内容】:医業収入 174,119千円、役員報酬 30,240千円 (平成14~16年度平均)

・標榜科目:内科、整形外科、胃腸科、精神科、リハビリテーション科
・現在プライマリケアを中心とした診療を行っております。
・地域密着のクリニック、通所リハも行っております。
・外来数100名/日、通所リハ患者20名/日
・非常勤は3名による支援も行っております。
・従業員は9名、パート4名で運営。

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内科、整形外科、胃腸科、精神科、リハビリテーション科
というのでまず驚き。
現代の話か?多分、糖尿病も高脂血症も診察しているはずだ。

7800万円を初期投資して、
ひとりで外来数100名/日となれば、役員報酬3000万円と引き合わないだろう。
初期投資分を別のもので運用しながら、
パート勤務医を掛け持ちしたりしたほうがいいだろう。

今後は整形、精神、胃腸のどれで生き残るとしても、これまでのような数字はあげられないだろう。
従って、後継者のいないこのような医療施設の売却は今後増えるだろう。
患者を継承というが、よほど孤立した地域は別にして、そうでもなければ、患者さんは強制的に継承はできないのだから、維持はかなり困難。

継承者なしのままで閉院する場合も多い。それがリスク回避の最善手だからだ。

それを回避するために、クリニックモールにする場合も多い。
この物件の場合であれば、まず薬局が全体を買い取りまたは賃借して、一階に調剤薬局を置き、2-5階については、それぞれの科を入居させて、モールを形成する。営業権も分割して、各専門科に割り振る。リスクが分散できるので合理的である。

しかしすでにその動きも飽和状態で、
全部埋まらないクリニックモールがたくさんある。

今後、勤務医の労働環境が整えられれば、ますますこうしたテナント業は難しくなるだろう。
所有してしまうリスクは重大で、よほど考えなければならない。

高齢者医療や介護業界で、資本金のあるところは、先行投資しておけば、将来回収できるかもしれない。需要は確実にあるのだから。内科、整形、精神と名づけられている患者さんたちも、歳をとれば、高齢者医療の内部での医療・介護となる方向らしい。後期高齢者医療の内容、そして介護の現状を見ると、医療供給側の意欲を維持できるかどうか、かなり疑問である。
それでもやりたいという人は、よほどの人たちだろう。

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今後マーケットの本格的成熟に向けて、営業権や継承権といった、現状では不明確な権利を明確化して、双方納得できる客観的で妥当な水準を形成する必要がある。