医師不足対策を論じているブログ

医師不足対策を論じているブログの採録

*****
「医師不足への対策」について。
 医師不足への対策について、朝日の社説が述べている。
 「何で今ごろまた?」と思いましたね。読売ならば、ふだんからちょいちょい話題にしているが、朝日はあまり話題にしていない。それが今になって突然、話題にする。なぜか? わかりましたか? 私はピンと来ました。
 「橋下・新知事の当選を見て、彼の公約から、それを思いついた」
 ということだ。情けないね。どうせなら、彼の公約を見た時点で、評価すればいいものを。(私はそうしました。このサイトで。)
 また、今になって話題にするなら、「橋下氏の物真似です」とでも言えばよかった。そうすれば猿真似がわかったのに。それなら、正直であり、偽装ではありません。  (^^);
 ま、朝日は公約のリサイクルをして、それを新品だと偽装したのでしょう。

 皮肉はともかく本題に入ると……朝日の社説の趣旨は、次の通り。
 「医師が不足している。医療過疎の県では特に医師が不足している。これを解決するには、どうするべきか? プロ野球のドラフト制度にならって、医師のドラフト制度を導入すればいい。医療過疎の県に重点的に、医師を配分すればいい。どうです。名案でしょう?」

 近ごろ医師の不足や偏在が目にあまる。
 医師は毎年40000人ほど増えているが、人口1000人当たりの医師は2人だ。先進国平均の3人まで引き上げるべきだ。医師の養成には10年はかかる。早く取りかからなければならない。
 医師が充足するまではどうするか。産科や小児科など、医師が足りない分野の報酬を優遇する。あるいは、医師の事務を代行する補助職を増やしたり、看護師も簡単な医療を分担できるようにしたりして、医師が医療に専念できる環境をつくることが大切だ。
 そのうえで、診療科目の選択や医師の配置に対して、公的に関与する制度を設けるよう提案したい。
 医師の専門分野が偏らぬよう、診療科ごとの養成人数に大枠を設ける。医師になってからは、一定期間、医師の少ない地域や病院で働くことを義務づける、というものだ。
 配置を受ける時期は、研修時や一人前になったとき、中堅になって、といろいろありうるだろうが、義務を果たさなければ開業できないようにする。
 医師は命を預かるかけがえのない仕事である。だから私立医大へもかなりの税金を投入している。収入が高く、社会的な地位も高い。たとえ公立病院に勤務していなくても、公的な職業だ。
 自由に任せていては、医師の偏在は解消できない。社会の尊敬と期待にこたえて、このように一時期の義務を受け入れることはできない相談だろうか。
 医師の多い県から出してもらう必要も生じるだろう。
 その際には、プロ野球のドラフト制度をヒントにしてみてはどうだろうか。新人だけでなく中堅の医師を含めて、医師不足の県が、医師の多い県から優先的に採用できるようにするのだ。

( → 朝日・社説 2008-01-28 )

 呆れてものも言えない、とはこのことだ。あいた口がふさがらない。
 まずは、緑線部に着目しよう。
 「収入が高く、社会的な地位も高い。」
 というが、地域の開業医はともかく、大病院にいる勤務医はそうではない。給与総額はたいして高くはないし、それに秘して、労働時間は異常に長い。おまけに宿直まである。さらには、ウィルスが蔓延しているという危険環境にある。ま、3K(危険・汚い・きつい)ですね。これだったら、相当の高給でないと割が合わないが、現実には、たいしたことはない。しかも、最初の医大教育の投資(莫大な教育費)をまかなう必要がある。さらに、30歳ぐらいまで医師になれずに勉強するでの収入が少ないので、それも考慮する必要がある。生涯賃金では、全然、低所得だ。……認識が正反対である。ひるがえって、朝日の社説委員は、ゴミみたいな記事をかいて、まさしく無駄な新聞紙を大量に吐き出していて、「何もしない方がまだマシ」という状況なのに、新聞社員として年収千五百万円ぐらいをもらっている。こっちの方がよほどひどいのだが、何だってまた、ごくつぶしの連中が、社会に有益で3Kの人々を「収入が高く、社会的な地位も高い」などと金持ち階級扱いするのか。冗談じゃないですね。これじゃまるで、レーニンが「資本家をたたきつぶせ」と労働者を煽動したのと同様である。気違いじみた妄想で、国民をたぶらかそうとしている。
 「自由に任せていては、医師の偏在は解消できない。」というのもまた、共産主義丸出しである。日ごろの主張はどこへ行ったのか? 
 「市場原理で配分は最適化されます。だから自由競争を推進しましょう」
 というのが、日ごろの主張であったはずだ。だったら、それを今こそ唱えるべきではないのか? 

 ここで、経済に話を移そう。
 「市場原理で配分は最適化されます。だから自由競争を推進しましょう」
 というのは、ミクロの原理としては、まさしく正しい。配分の最適化は、まさしく自由競争でなされる。一方、
 「市場原理で経済成長が実現しす。だから自由競争でマクロ的に成長させましょう」
 というのは、古典派(特にサプライサイド)の主張だが、これはまったくの間違いである。「市場原理」というミクロの原理を、マクロの分野に持ち込んではならない。そんなことをすれば、「弱肉強食」のもとで、弱者はメチャクチャに虐待され、さらに、国家経済全体も縮小する。(それが現状だ。)

 朝日はなすべきことを逆にやっている。
 マクロの分野では、自由競争だけでは駄目だ。マクロ政策が必要なのだ。なのに、「自由競争だけでいい」と主張している(いた)。小泉流。
 ミクロの分野では、自由競争が原則なのだが、逆に、上記のように、「公的介入」を唱える。共産主義政策。(そう言えば小泉も「構造改革」というイタリア共産党の政策を導入した。その物真似ですね。)

 ここで、話の核心に移る。朝日という馬鹿の悪口ではなく、正解を示す。
 一般に、配分の最適化をするには、自由競争でいい。ただし、自由競争の場合、需要が過剰のときには、価格が高騰する。たとえば、プロ野球ドラフトがそうだ。契約金が異常に高騰するという現象が発生した。そこで、ドラフトというカルテルを導入することで、この価格急騰という問題を抑制した。……ここでは、「需要過剰」という問題があったから、それへの対策として、「需要を抑制する」という対策を取ったわけだ。それが本質である。ここでは、公的介入をしたのではない。カルテルを結んだのだ。勘違いしないように。(それで利益を得たのは球団で、損をしたのは超一流の選手。)
 さて。では、医師不足の県には、この方法は当てはまるか? いや、当てはまらない。なぜならここでは、需要不足はなく、逆に、供給不足があるからだ。もちろん、医師の給料が高騰しているわけでもない。むしろ、「死ぬほど働かせる」という労働環境の割には、給料は安すぎる。
 たとえば、離島では、「年収 4000万円」という条件もある。ただしそこでは、「年中無休で、3人分働け」という環境にある。村としては、三人を雇用するべきなのだが、そうすると、1500万円×3で、4500万円となる。さらに、施設も三倍増にする必要がある。その金が惜しい。だから、一人の医師を三倍働かせようとする。しかし、そんなことをすると、医師が壊れてしまう。だから医師は、死にたくないので、逃げ出す。……これがつまりは「年収 4000万円でも医師が来ない」という状況だ。ここでは本当ならば、医師を三人雇用し、施設も看護婦も三倍にするべきなのだ。なのに、その金を惜しむ。つまりは、価格をあえて下げている。払うべき金を払わない。だから、医師が来ないだけだ。逆に言えば、払うべき金を払えば、医師は来る。「現状はタコ部屋だからやめたい。離島でも何でも、人並みの生活ができるなら、そこに行きたい」と思っている医師はいる。……だから、ここでは、まともに金を払えば、解決ができるのだ。
 しかし、朝日の政策は、それとは正反対である。「3Kの職場には労働者が来ない」という状況を見たときに、「3Kをなくす」という発想がない。「3Kで致死的な職場では給料が高い」という点だけを見て、「奴らは高給をもらっているから、待遇を改善する必要はない。むしろ、強制的に配分するべきだ」と思い込む。
 しかし、そんなことをしたら、どうなるか? 医師のなり手が激減する。ただでさえ、現状では、低レベルの医師がたくさんいる。三流医大の馬鹿医者がたくさん出ている。それなのに、「医師の徴用」みたいなことをして、医師の待遇をさらに悪化させたら、どうなる? まともな医師が激減する。普通の会社には入れないような低劣な馬鹿だけが医師をやるようになる。国民の生命を、馬鹿連中に委ねることになる。……それでいいのか? 

 朝日の狙いは、要するに、「医療崩壊を意図的になそう」ということだ。「医療費のコストを下げよう。そのためには、まともな会社に入れないような馬鹿連中を医者にすればいい。そうすれば、医師に払う賃金を下げることができる。また、あちこちに大量の医師を配分することもできる」と。……しかし、そこに配分されるのは、医師というよりは、医師という名の猿である。猿が人間を治療して、デタラメな治療をして、国民を大量に死なせよう、という方法だ。
 なるほど、そうすれば、国民の人口が激減する。少子高齢化の社会で、老人が大幅に死亡して、日本は高齢化社会の問題が一挙に解決する。……ヒトラー並みの優生政策。
 素晴らしい名案。……と思っているんだろうね。ただし、それで死ぬのは、ユダヤ人じゃなくて、自分たちだ、ということに気づいていない。「ユダヤ人みたいな高齢者を死なせてしまえ」という政策を取ったあとで、自分が殺される。
 朝日がここまで馬鹿だとは思わなかった。

 なお、私としては、代わりに名案を出しておこう。
 「朝日の馬鹿な社説社員を徴用して、医療の場の下働きをやらせる。便所掃除やゴミ掃除など」
 で、一日に 18時間ぐらい働かせて、宿直もやらせて、給料は薄給にする。……どうです? これで医療費が抑制される。朝日の言い分のとおりになる。……あ、そうそう。これは公的なドラフトということにしましょう。徴兵みたいなもので。で、最終的には、朝日の社員には、戦死してもらう。これで彼らに払うべき年金も払わないで済むしね。一石二鳥。
 
 あ、わかった! 朝日の真の狙いは、高齢者を全部殺して、年金問題を解決することにある。そのために、医療崩壊を狙っているのだ! すごい策謀。

 [ 付記 ]
 あまりにもひどい朝日の社説への皮肉が強すぎたが、要するに、本項の意図は、「経済的観点をもて」ということ。
  ・ ミクロの最適化は、「配分」の問題だから、公的には介入するな。
    (各病院が待遇改善を図ればよい。)
  ・ マクロの総枠は、マクロの問題だから、マクロ政策を取れ。
    (国が医師の待遇改善や人員増加の国家政策を取るべし。) こういうふうに、ミクロとマクロを区別して、なすべきことをなせ、ということだ。で、朝日は、現状では、正反対のことをやろうとしている。そのせいで、国家を破壊することになる。特に、医師の待遇を悪化させると、医師の総量が減るし、総量が減るのにあえて増やそうとすると粗製濫造になる。そういう根源を理解する必要がある、ということだ。