ワークライフシナジー 大沢真知子 岩波書店
生活史と語との〈相互作用〉が変える企業社会
最近まで,仕事も生活もどちらも充実させる生き方について日本の社会でまともに論じられたことはなかった.また,働き方も,「仕事優先」(正社員)か「家庭優先」(非正社員)かのふたつで,両方ともという働き方は生み出されていない.そういう社会でいま,どちらもという新しい生き方が誕生しはじめている.また,それが求められる社会が来ている.
そのときにまず直面するのは,意識変革の難しさではないか.少なくともわたしにとっては,ワークライフバランスの難しさは,自分自身の意識を変えることにあったとおもう.
――本文より
前著『ワークライフバランス社会へ』を出版して以降,各メディアや企業,政府関係機関,自治体などから講演やシンポジウム,政策会議参加の依頼が殺到している.ところが日本企業の経営者や研究者たちとの議論で語られる「ワークライフバランス」は,単なる女性活用の方法論や理想論としてしか受け止められていない.ほんとうの意味での「ワークライフバランス」のシナジー(相乗効果;相互作用)が語られることがあまりに少なかった.本書ではそうした経験から,成功している企業の豊富な実例とともに,より具体的に「ワークライフバランス」のシナジーを浮き彫りにしてゆく.
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ワークライフバランスはWLBと省略して、メンタル指導のキーワードに使ったりしている言葉だ。
今度はワークライフシナジーで、造語として絶妙、ジャーナル感覚が溢れている。
しかし現場ではそんなことは言っていられない。シナジー効果で、仕事が進んで発想が湧くようなら喝采する。
成功している企業の豊富な実例というが、わたしは成功している会社の見事な失敗例ばかり見ている立場なので、不思議な感じがする。
読者の皆さんは、眉に唾して読んだ方がいい。こういう書物こそ、クリティカルに、厳密に、読むことが必要だ。
この類を画餅という。