JRの駅に旅のパンフレットがあったので、何枚か持って来た。
中に伊豆半島の下田温泉、伊豆高原、伊東温泉などが並んでいる。
地図には天城トンネルとか浄蓮の滝などがあり、演歌の歌詞のとおりである。
伊豆高原に別荘があり、
そこで誰にも邪魔されず銀細工に熱中する人がいる。
完成品を売ってくれる店が近所にあるらしい。
もう東京に帰りたくないとのことだった。
かなり年配のお医者さんは、
ある女子医専を出ているのだが、
思うところあって、伊豆半島のある駅の前で開業した。
結婚はせず、仲のいい看護婦さん一人とずっと仕事をした。
その後ご高齢で閉院し、高級老人ホームに入居した。
一緒に仕事していた看護婦さんも一緒に入居した。
そのままで暮らしているのだが、
なかなか平和というわけにはゆかず、
小さな集団の中でいろいろとあるらしい。
むしろそのような人間関係がわずらわしくて
田舎で暮らしていたのだから、
お年をとってから再びそのような対人関係に悩まされるのはいやなことだろうと思う。
その人のお話では、
人生のつらさは年をとってなおさら身にしみる、
特に身よりもなく、子供もいない自分にとっては、この世はつらいのだと語っていた。