高齢者と消化器

夜間の口腔内容物の垂れ込みが肺炎の原因となる。
「よだれ」というが
本当に「夜」「垂れ」ている。

学校の机で、うつぶせに寝ている人の、
口からよだれが垂れて机にたまっていたことがあったが、
その分がそっくりそのまま
肺に流れこんだら、大変だ。
むせたら、気がつくけれど、
そのような反射もなくて、眠っているとしたら、肺炎にもなる。

食事中ににむせなかったとしても、寝ている間に、肺に唾液が侵入して、
誤嚥性肺炎が発生する。
これは困ったことだ。
普通このようなタイプの人たちは、
食事中にむせて、そのことで誤嚥性肺炎という診断がつく。
食事の観察で問題がなかった場合には、
飛まつ感染と診断される。
施設の中には菌が一杯というのが現実である。

しかし中には睡眠中の唾液誤嚥性肺炎が混入しているはずだ。
少しの量なら処理できるに決まっているのだが、
大量になると処理が追いつかない。
唾液に雑菌が多く混入していると問題が大きくなる。
寝る前に口をきれいにしておくことも必要だろう。
何も食べなくても、長く時間を置くだけで雑菌は繁殖するので、
時間ごとに口をきれいにする習慣にすれば、
そのほうがいい。

もともと、消化管系と呼吸器系が、のどで交差しているのがまずいので、
この構造がある限りは、
最期は肺炎というケースが多くなるだろう。

これはなかなか大変なことで、
もうどうしようもないことの範囲に入る。
対策としては、うつぶせに寝ること。
でも、寝返りを打つ。
特殊なマウスピースも考えられるが簡単ではないし、
寝ているうちにはずしてしまう。

「ゴックン」の練習というものを老人病棟では繰り返している。
とろみのついた食べものを少量にして、
「ゴックン」の練習を繰り返す。

普段の生活でむせる傾向のある人は、
まず、考え事をしながらぼんやり食べる習慣を改めることが大切らしい。
精神集中して、ゴックンをすること。

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食事の内容物が気管方面に飛び出しそうな感じでかかれているが、
それは困る。
塊になってするりと流れて行って欲しい。
だから粉っぽいものの場合にはとろみをつけたようがいい。
ゆっくり噛んで、つばと混ぜ合わせて、とろみがついた状態にして、
ゴックンだ。

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喉頭蓋が大変な働き者であることがよく分かる。
しかし進化の過程ではどうだったのだろう。
喉頭蓋が大きすぎたり小さすぎたり穴が開いていたり、
みんな大変な目にあっていたのではないか思う。
図でみるとオートマティックな感じで、
神経のコントロールはどうなのかと思われるのだが、
実際は老年になり、意識レベルの低下がある時に食事をしていると
誤嚥するということが施設ではよくある。
意識がはっきりしていれば少ないので、
やはり神経のコントロールが関係していると思う。

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胃では、萎縮性胃炎といわれるものがあるが、
H.pyloriが原因であったことが分かった。

高齢者の場合も、H.pyloriの感染がない場合は、胃酸分泌低下はない。

これは何かの時に話題になった。
胃酸を抑える薬はいろいろと出ているけれど、
胃酸を増やす薬はあるのかということで、
現状では胃酸を増やすことは必要ないようなのだが、
そして、胃もたれするとか、消化が悪いという場合に、
実際に胃酸を増やしてしまうと、
胃壁の自己消化につながってしまい、まずいだろうと思われる。
胃もたれというのは、胃に食べものが滞留するということで、
胃の運動を促進してしてやるほうがいいらしい。
胃酸そのものはちょっぴりあれば充分のようだ。