古い歌謡曲の歌詞を部分的に採録して
あれこれ眺めている。
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有名な曲で
歌詞は意外にも非常におとなしいものがある
万葉集と語彙も変化がないくらい
歌っている内容も変化がない
日本語は意外と安定していると思う。
ジルバとかカルピスとかそのうち脚注が必要になりそうな語彙は案外少ない
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女の子なんだもん
お嫁さんにしてね
なんていう歌詞は
こうして堂々と言われてみると
なるほど筋の通ったまっすぐな感情なのだと思う
キリスト教じみた歌がないのは
日本人が意外にかぶれていないことを示しているのかもしれない
無論、神道も仏教も革命もないのであるが。
梁塵秘抄などの伝統と直接につながるものと思う。
こうして見てくると日本人が生きているのではなく
日本語が生きているのだという倒錯した感覚も生まれる。
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新奇な言葉という点では
昭和初期くらいの古い歌の方が
むしろ奇妙な言葉がある。
東京ネギ ネギ とか
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方言がないのも日本歌謡の特徴かもしれない
おら東京さ行ぐだ
などが
正確ではないが方言を使い
しかもラップであり斬新
しかも
方言を使いながら
東京への憧れを歌い
(一見)方言へのネガティブな態度を見せている
方言讃歌ではないのである
自己否定するところにユーモアは生まれるのであるが
この歌も自己否定のユーモアを装い
結局肯定感に満ちていて
なかなかおもしろい
千昌夫の北国の春の方がずっとふるさと讃歌なのであるが共通語である