ネットと幻想的万能感と自己愛的人格障害

ネットの住人になっていれば
かなりの程度で幻想的万能感の中に閉じこもっていられると言われる。
そこに現実との落差が出来てしまった場合、
ネットの住人になったほうが居心地がよくなってしまう。

幻想的万能感を抱くために社会適応が悪くなるものの代表が
自己愛的性格障害である。

したがって、自己愛的性格障害の傾向のある人はネット社会にはまり易いし、
ネット社会に長く時間を費やしていると、
自己愛的人格障害部分が助長され拡大されると考えてもいいかもしれない。

自己愛的なままでいること、
または自己愛的な部分を拡大してしまうこと、
それがネット社会のもたらしているものかもしれない。

人間が自己愛的でいるためには
自己愛備給が必要である。
ナルシスティック・サプライという。
自分は本当はすごいと思っていても、世の中の誰も褒めてくれないと、さすがに自分だけの思い込みかと思い、そのような信念はばかげていて無駄だと思うようになる。
しかし人間の中にその人の自己愛的誇大的自己を褒めてくれる人がいれば事情は違ってくる。

現実の世界でそのような関係が起こるのは、
たとえば共依存などといわれる状態であった。
平たく言えば、その人も病気だし、それを支えている側も病気だということだ。

幸か不幸かそのような相手と出会ってしまうと、病理は固定してしまう。
では、出会わないけれど、ネット社会で出会ってしまったらどうなるだろうか。
おそらくそれは充分にナルシスティック・サプライとなるだろう。

対面していない、かつ、ネット的親密さに助けられて、
対面しての自己愛備給よりも甚だしくなるかもしれない。

このような考えてくると
自己愛的人格障害者が自己愛的であるための条件のひとつをネット社会が提供していることになる。