次のような文章が引用されていて、
再度引用する。
私も老人だが老人様といわれるとやはり脱力する。
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金田一春彦:「日本語を反省してみませんか」角川oneテーマ21,p12-13,2002
敬語の勘違い:「さま」という言い方
『言葉を丁寧なかたちにしても、けっして丁寧な意味にはならないという例はほかにもある。病院へ行くと、「患者さま駐輪場」「患者さま待合室」と書かれていることがある。 「患者さま」と言われるのは何となく落ち着かない。なぜなら「患者」という言葉自体がすでに悪い印象を与えるため、いくら「さま」をつけてもらってもうれしくない。「病人さま」「怪我人さま」「老人さま」など、いくら頑張っても敬うことにならないのである。「ご来院の方」「外来の方」などというように変えたほうがいいと思われる。』
金田一先生は、まだマイルドに述べておられますが、たとえば「病人様」「老人様」「障害者様」などという言葉は、しばしば揶揄するときに用いられます。
日本人として生きてきて、まず最初に「患者様」という呼称を耳にしたとき、違和感を覚えたのはわたしだけでしょうか?なんとなく変だな、と思った方、あなたは正しい日本語の感覚を身につけています。きつい言い方をしますが、「様」をつけるだけで丁寧になっていると考えた人は、物事を表面だけで捉えて本質を考える能力を欠いていると思うのでした。
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しかしながら言葉は生きていて変化してゆくものだ
変化には何か理由があるのだろうし
変化について行けない人たちも
一方にはいるはずで
それぞれでいい
納得している人同士が納得して使っている分には何も言うことはない