従来のうつになりやすい性格構造としては、
「熱中性+几帳面+持続する陰性の気分」+「対他配慮」
と説明できるだろう。
現代のうつの背景病理としても、
「熱中性+几帳面+持続する陰性の気分」の部分については共通だと思う。
対他配慮については、昔のような対他配慮はないようで、
ここだけが現代型の対人関係が反映されている。
生活が便利になり助け合わない生活になった、
個人で動くことが多くなった、
サービスをお金で買うようになった、
少子化で子供は集団で遊ばなくなった、
家で老人と同居しなくなった、
これらの理由で、対他配慮は薄くなっている。
現代型の配慮があるもので、
なるべくそっとしておこうとか思うものだ。
いわれたりされたりしたらいやだろうからそっとしておいてあげることも大事な配慮なのだとも思う。
これは昔からみれば「薄い配慮」なのだけれど、
それなりに「適切な配慮」なのだと思う。
配慮が手厚いのもなんだか暑苦しいといわれると、
そうかもしれないと思う。
その人にとってちょうどいい程度の配慮はどの程度か、
推定して、なるべく誤解されない程度の、薄い配慮にせざるを得ない。
というようなわけで、対他配慮については、性格要因としてはないものと考えていいのだろうと思う。
すっきりと、
「熱中性+几帳面+持続する陰性の気分」の三要素を提示すればいいようである。
熱中性が強くなれば、双極性に近くなり、
熱中性が弱くなれば、単極性のうつに近くなる。
几帳面成分が突出していれば、強迫性障害の色彩を帯びる。
熱中性も几帳面も弱いものは持続する陰性気分が主成分となり、
それはディスチミアに近くなる。
その状態でうつ病になればディスチミア親和型うつ病である。