振り子反動型経済学

 大恐慌が来なくても、これからの世界経済は、元へは戻れません。民間と政府、市場とリアル経済、金融機関と中央銀行――。これらの関係、そして人類の生存条件が変わります。今回の大変動で、20世紀型経済が終わったからです。新しいルールと流れが始まります。

 簡単なところから言えば、金融ビジネスの黄金時代は終わるでしょう。これまで世界の中央銀行の金融政策を支配していたフリードマン以来のマネタリズムが、金融危機とともにその死を迎えたからです。

 マネーサプライと金利と物価上昇率を見て、金融政策を決め、金融機関をコントロールすることは意味がないことが明白になりました。

これからは、すべての信用創造量をコントロールする方向に金融政策の教科書が書き直されるでしょう。

 それは、物価の定義が変更されることでもあります。石油や食料だけでなく、株・為替・不動産も投機の対象である以上、実物経済と資産経済を分けておくことは、中央銀行の金融政策上意味がなくなったからです。

 むしろ、不動産や株式がファンダメンタル価値を超えて上昇することを放置し、それが資産効果を通じて消費を増大するという、誰でも常識で知っていることを無視してきた20世紀型の金融政策運営が、サブプライムローン問題の発生の放置、その後の危機対応の遅れの底流にあります。

 けれども、新しい金融政策のコンセンサスができるまでには時間がかかるでしょう。フリードマンの次の大金融学者が現れて新理論体系を構築するまでは、政策の誤りによる暴落が繰り返されるかもしれません。

欧米を中心に、これまでの小さな政府から大きな政府へと方向転換が起きるでしょう。民間の投資や消費が壊滅的な打撃を受け、いくら金利を下げても有効需要が生まれない、という流動性のわな(liquidity trap)とケインズが呼んだ経済状況に直面するからです。

 その時に、どのような政策を打ち出すかが勝負の分かれ目です。日本のように政府がお金を国民に配るようなことをしても、消費も投資も増えず、多くが貯蓄に回ってしまいます。ただ財政赤字が増えるだけでしょう。雇用不安が増大する中で、パッとお金を使う気には誰もがなれるはずがないからです。

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雪崩を打ったようにこんな話が多い。
「フリードマン以来のマネタリズムが、金融危機とともにその死を迎えたからです。マネーサプライと金利と物価上昇率を見て、金融政策を決め、金融機関をコントロールすることは意味がないことが明白になりました。」
などという。

「すべての信用創造量をコントロールする方向に金融政策の教科書が書き直されるでしょう。それは、物価の定義が変更されることでもあります。石油や食料だけでなく、株・為替・不動産も投機の対象である以上、実物経済と資産経済を分けておくことは、中央銀行の金融政策上意味がなくなったからです。」
なるほど分かりやすい話であるが、書き直してみることができるものなのだろうか。怪しい。

何かあるとすべては新しくなると
宣言してみたくなるものなのだろう。

手直しも必要だが情報監視が大切だろうし
その情報の解釈が問題なのだと思う