元厚生次官ら殺害事件

元厚生次官夫婦が死亡 自宅玄関で血流し さいたま、殺人の可能性も
 08/11/18
記事:共同通信社提供:共同通信社

 18日午前10時15分ごろ、さいたま市南区別所2ノ33ノ10、元厚生事務次官で全国生活協同組合連合会理事長山口剛彦(やまぐち・たけひこ)さん(66)方玄関で、山口さんと妻美知子(みちこ)さん(61)が胸から血を流して倒れているのを近所の人が発見し、110番した。2人は既に死亡しており、埼玉県警浦和署は殺人事件の可能性もあるとみて捜査を始めた。

 調べでは、2人は普段着姿で着衣に乱れはなく、胸には服の上から刃物で刺されたようなあとがあった。2人は山口さんが室内側、美知子さんが外側に、いずれもあおむけで倒れていた。凶器は見つかっていない。

 隣家の男性が、玄関扉の下から屋外に血が流れているのに気が付き、2人を発見した。鍵はかかっていなかったという。

 現場は埼玉県庁から南へ約1キロの住宅街。

 隣家の主婦(59)によると、同日午前5時半ごろ、山口さん宅の北東側の雨戸が開いており、居間の電気がついていたという。

 山口さんは、汚職事件で辞職した岡光序治(おかみつ・のぶはる)元事務次官の後を受け、1996年11月、厚生省(当時)の事務次官に就任。99年8月に次官を退任するまで、臓器移植法や介護保険法の成立に尽力した。

 2001年2月には旧社会福祉・医療事業団(現・独立行政法人福祉医療機構)の理事長に就任、今年3月に辞職。6月に全国生協連の理事長に就任した。
 
元厚生次官狙い連続テロか 東京でも妻刺され重傷 宅配便装い自宅襲う 
 08/11/19
記事:共同通信社提供:共同通信社

 18日午後6時半ごろ、東京都中野区の元厚生事務次官吉原健二(よしはら・けんじ)さん(76)宅の玄関前で、妻の靖子さん(72)が宅配便を装った男に胸などを刺され重傷を負った。同日午前、さいたま市南区の自宅玄関で死亡していた元厚生事務次官の山口剛彦(やまぐち・たけひこ)さん(66)と妻美知子(みちこ)さん(61)について、埼玉県警は殺人事件と断定。山口さん方でも犯人が宅配便と偽り玄関に侵入した疑いがあり、警察庁は旧厚生省幹部を狙った連続テロの可能性があるとみて、全国の警察に関係者の警備強化を指示した。

 官僚トップ経験者を狙った連続テロとみられる事件は戦後初めて。警視庁は野方署に、埼玉県警は浦和署にそれぞれ捜査本部を設置した。警察庁は19日、警視庁と埼玉県警の捜査幹部を集め、合同捜査会議を開く。

 厚生労働省によると、現在の基礎年金制度を創設した1985年の年金法改正時、吉原さんが年金局長を、山口さんが年金課長をそれぞれ務めていた。厚労省は歴代の事務次官、社会保険庁長官、年金局幹部の身辺警戒を警察庁に要請。庁舎入り口と大臣官房のあるフロアの警備員を19日から増やすことを決めた。

 警視庁によると、靖子さんを刺した男は身長約160センチ、30歳ぐらいで、野球帽をかぶっていた。靖子さんは「宅配便です」の声がして、玄関を開けたところ、いきなり胸など数カ所を刺された。政府関係者によると、救急車内では意識があり「主人が狙われているかもしれない」と話したという。警視庁は殺人未遂容疑で男の行方を追っている。現場から凶器は見つかっていない。

 吉原さんは年金局長や社会保険庁長官を経て88年6月から90年6月まで厚生事務次官を務めた。靖子さん、息子と3人暮らしだが、当時は外出しており無事だった。

 一方、埼玉県警によると、山口さんと美知子さんの胸にはそれぞれ鋭利な刃物で刺されたとみられる数カ所の刺し傷があった。山口さんの腕には、抵抗した際にできたとみられる傷もあった。遺体の状態などから、県警は17日深夜までに殺害された可能性が高いとみており、19日に2人の遺体を司法解剖し、死因を調べる。

 血痕の付いた足跡が山口さん方付近の路上に残っており、犯人は徒歩で逃走したとみられる。

 調べでは、山口さんはシャツにズボン、美知子さんはセーターにスカートの普段着姿。2人とも靴下をはいた状態で、靴ははいていなかった。室内に目立った物色の跡はなく、玄関以外に血痕がなかった。

 山口さん夫妻は2人暮らし。埼玉県内に住む長男(36)と東京都在住の次男(33)が18日午後に浦和署を訪れ、遺体を確認した。
 
11月19日 18時16分 NHK
東京・中野区の住宅で、元厚生事務次官の妻が宅配便を装った男に刺されて大けがをした事件で、妻は胸や背中など5~6か所を刺されていたうえ、両手には抵抗した際にできたとみられる切り傷が多数あったことがわかりました。警視庁は、男が強い殺意を持って執ように切りつけたものとみて、犯行の状況をさらに調べています。

この事件は、18日午後6時半ごろ、東京・中野区の元厚生事務次官、吉原健二さん(76)の住宅で、妻の靖子さん(72)が男に刃物で刺されて大けがをしたものです。靖子さんは、宅配便を装った男に対応しようと玄関のドアを開けたところを、いきなり襲われたとみられていますが、その後の調べで、靖子さんは胸や背中など5~6か所を刺されており、このうち左胸の傷は、肺の表面にまで達していたことがわかりました。また、刺し傷は背中にもあったほか、両手には抵抗した際にできたとみられる切り傷も多数あったということです。警視庁は、男が強い殺意を持って靖子さんに執ように切りつけたうえ、逃げようとしたところを背後からさらに刺した疑いがあるとみて、犯行の状況をさらに調べています。

また、さいたま市の自宅で殺害された元厚生事務次官の山口剛彦さん夫婦も、刃物で胸を数か所刺されていたほか、山口さんの両腕には刃物をよけようとして付いたとみられる傷があるということで、警視庁は、関連についてさらに捜査を進めています。靖子さんが入院している東京・板橋区の日本大学・板橋病院では19日昼前、石川誠庶務課長代理が報道陣の取材に応じました。この中で、石川課長代理は「昨夜10時30分ごろからきょう未明の3時すぎまで、7人の医師が胸や腕の手術を行った。吉原さんは、現在も集中治療室にいる」と話しました。また「警察が24時間体制で警備に当たっているが、病院側でも警察の指示に従ってセキュリティを強化している」と説明しました。

11月19日 18時52分 NHK
元厚生事務次官やその妻が相次いで襲われた事件を受け、警視庁は都内に住んでいる厚生労働省や社会保険庁の現職と歴代の幹部およそ60人について自宅周辺に警察官を配置するなどして警戒に当たっています。特に東京の事件の犯行時間帯と重なる夕方から夜にかけ態勢を強化するところもあり、異例の警戒が続いています。

今回の事件では、いずれも元厚生事務次官の自宅で本人やその妻が刃物で刺されて3人が死傷しており、警視庁は今後も、厚生労働省の歴代の幹部や現職の幹部を狙った犯行が起きる懸念があるとして、警戒を強化しています。対象となっているのはおよそ60人に上り、このうち厚生労働省の現職や歴代の大臣や事務次官、それに社会保険庁の長官経験者などおよそ30人については、自宅周辺に24時間態勢で警察官を配置させているほか、局長や審議官などについては警察官が自宅に立ち寄るなどして警備を強化しています。特に犯行時間帯と重なる夕方から夜にかけては、配置する警察官を増員したりパトロールを集中させたりするなど、警備態勢をさらに強化するところもあり、異例の警戒が続いています。

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