不況と詐欺

不況になるとますます詐欺が横行する。
人間とはだます動物である。

著作権というものが
また実にせこいもので
考えさせられる。

以下の文章採録。

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小室さんの事件には驚いた方も多いかもしれません。

まあ、ここではっきり書くわけにもいかないのですが、この種の著作権に絡んだ詐欺事件は枚挙にいとまがありません。まさに今回のようなケース、ではあるのです。

つまり、著作権、特に音楽、映像などのものは実は大部分が証券化も含めて「外出し」されているんですね。権利そのものの管理の問題もありますし、まあ、専門家に任せた方が権利ビジネスとしての幅が広がる訳です。「もちやはもちや」、ですね。

所がしばしば、

「本当は俺が権利をもっているんだぜ」、

という奴が現れるのです。マイケル・ジャクソンだったり、一頃はローリング・ストーンズの著作権なんてのも流行った。もちろん詐欺なんですよ。一緒に写ってる写真かなんかを見せる訳。おれ、ぽんゆうで頼まれてさ。あちおちばらまきたくないから内緒の案件なんだよ、と来る訳ですね。

で、今回厄介なのは本人が出てきたこと。

最終的には「じゃ、マイケルジャクソンに会わせてよ」、と確かめれば終わるのですが、本人がそこにいるとなるとなかなか見破れない。

実は本件、昨年から話は結構あって、その道のプライベートバンカーの間では有名な案件だったそうです。事実私にもお二人ほどから相談があった。

「本人につながりますか」、と聞いたら「一緒に飯食った」、という訳ですよ。
そうなると、さすがに本当かなー、と思って金額を聞いてみたら800曲で10億円という。あー、それは安すぎるので偽物ですね~、というアドバイスをさせて頂きました

まさか本人が、という気があったのも事実ですが、決め手はやはり金額でした。安物買いのなんとやら、で、ゼロが一つ違ったらもっとたくさんの人が騙されたかもしれないな、と思います。こういうふつーの金銭感覚はとても大事で、カップラーメンが一つ400円という人に健全な経済運営が任せられないのは当然なんですね。

かくいう私も20年以上この仕事をやっていますと、まんまと騙されてご迷惑をおかけしたこともあるのです。高い授業料でしたが分相応の金額だったので東京湾に沈まずに済みましたし、こうして御裾わけができる、という訳ですね(笑)。

念のため過去3年間程度、プライベートバンカーの間で出回っているあやしいディールをご紹介しておきましょう。ひっからないように(笑)。

1.イラク・ディナール預金(今なら高レートでいつでもドルに交換できる・・・外国人はイラク・ディナールで預金できません)

2.本土の中国人なので割り引けないから半値でいいので割り引いてくれ、という香港上海銀行の手形(これは本当に香港上海銀行の名刺をもったおっさんが現れるらしい。名刺はもちろん偽造)

3.沖縄のオリオンビールの買収案件(本土販売先のアサヒとの関係を解消したいので独立したい、と沖縄の大株主が希望している・・全くのうそ)

4.尖閣列島の原油採掘権(通商産業省の認定書あり。そんな認定書はないでしょ!)

5.ブルーベリーなどの果実の木を買いませんか。年間4%の金利は保証。プラスブルーベリーが手に入ります(ブルーベリーができる前に本人がいなくなるでしょう)

6.一口5万円で映画製作に出資しませんか。エキストラ出演権付き。将来上場を目指しており、20万円分の株券と交換します。(金融庁にすぐ行きましょう)

7.ナイジェリア大使館の家賃を建て替えて欲しい(本国からの送金が遅れているそうだ。本当なら正式なルートで日本政府に依頼がありますので我々に出てくる筋の話ではあいりません)

などなど、まあ、みなさんよく考えるもんですね。
だいたい、各種事情により先にいくらか入金してください、というのが手口でそれを集めて逃げるというパターン。今回のように一発で、というのは結構珍しく、その意味では本当に困っていたんでしょうね。

いずれにせよ、金融証券取引法でかなり幅広く網をかけられますので、警察に相手にされなくてもとにかく金融庁には相談してみる、という手はあり、です。