あのいかれたP.Klugman

今の状況は日本のバブル崩壊の時の状況と近い。
政府に対して市場をなんとかしてくれという依存心(困ったときの政府頼み)が高まり、それに乗じて政府が介入権力を大幅強化し、統制経済に大きく振れていく。
自由主義はだめだとがなり立てるバカの声が強くなり、ケインズ主義の復活が叫ばれる。
もとより日本の場合は、自由主義など全くなかったから、従来の統制経済路線の強化に走っただけであるが、アメリカの場合はもっと極端なChangeに走る危険性がある。つまりChange to Socialismだ。

アメリカの1930年代の金融危機の時は、共和党のHoover政権での失政によりクラシカルリベラリズムそのものが劣勢となり、続くFDR政権による極端な社会主義、ケインズ主義にばく進していった。

Hoover自身はどちらかというと共和党的なクラシカルリベラルだったようだが、フーバーがやってしまった大失策は、極端な保護貿易主義であるSmoot-Hawley Tariff Actの導入や、所得税の大増税など最悪の反クラシカルリベラル的政策であった。これをアメリカは今回も繰り返す危険性が高い。
もしオバマが大統領になれば、NAFTAの見直しを初めとする保護貿易主義の復活と大増税の両方を行い、あのいかれたP.Klugmanもブレーンに入れてNew NewDeal政策にばく進する危険性が高い。
このby productは、さらなる国際紛争の危険性の増大だ。

近視眼的な政策によりどの国も保護主義を連鎖的に強化する可能性が高いためだ。
これがまさに1930年代に起こったことだ。
保護主義の台頭によって、より困窮するのは後進国だから、大国に対する敵愾心が衰えることもないだろう。

フーバーの失策は自由放任政策ではなく、まちがった法律を作ったことである。
ミルトンフリードマンが言うように、1930年代当時に適切な政府介入(recapitalizationなど)を行うべきだったというのには前提があり、当時も金融市場が決して自由市場ではなかったという点だ。
今はJ.Cohraneなどがいうように金融市場は前よりは自由度が高まっているため、以前よりはrobustになっている。しかし、依然として大きな規制がある不自由な不完全市場だ。
大小、様々な規制が存在し、それが金融市場を統制市場にしている。しかし市場が市場であるためには、それはLaissez faireな完全自由市場であることが前提になる。

今回の危機も本質は、市場に対する規制が原因であることは間違いない。例えば住宅金融公庫などのGSEも政府規制の産物だ。またS&Pなどの格付け機関も、政府による参入規制が強い寡占業界だ(実質3-4社しかない)。リスク、リスクというが、政府規制の強い部分で社会的に大きなリスクを生み出している。
政府規制が、市場のリスクヘッジ機能を生む自生的な構造を破壊するのだ。
だがフーバーの時と同じく、それは市場の失敗とみなされ、さらなる規制強化へと政府は逆噴射していくことになる。