自己組織系

都市計画関係の人の話では
その人の近辺での最近の流行は東京なのだという

パリは典型的な計画都市で権力むき出しで
パリ以外のことは何も考えていなくて
王権と貴族以外のことは考えていない
そんな作りだったらしい

パリではパブリックはとんでもない奴でも来るところ
プライベートはきちんとした人間がいるところ
理想は自宅から職場まで誰とも会わずにいけること

似たようなことをアラブのオイルマネーもやっているし
中国でもゴリゴリと始めている

理性の支配する空間らしい

しかし最近の関心はそんな計画ではなくて
おおざっぱに区切っただけであとは自分たちで勝手に
組織してもらう、東京のような自己組織系に関心があるらしい

かなりな平等主義で
下町もあれば大名屋敷のあともあり
奇妙な具合に混在していて
景観も何もないのだが
誰が規制するわけでもなく自然にそうなる

まとまった敷地があって分かったと思うのもつかの間
すぐに相続で細切れになり
庶民が住み着き勝手な生活をしている

まさに自己組織系で
経済学方面ではアダム・スミス以来の神の手で、
みんなが好き勝手にやっているうちに自然にいいところに落ち着くという
時間の要素の入ったすてきな計画なのだという

理性の届かないところで複雑系が成立する

権力側で計画することは大きな道路とか地下鉄とかそんなことで
あとは放任する

はっきりした身分制社会では地下鉄などの公共輸送は庶民の使うもので
得体の知れない病気とか不作法とか正しくないフランス語とか
虫ずの走るようなものが存在するので
きちんとした人はプライベートな移動手段を用いる

計画されて区画された枠内で生きる

東南アジアの一角に
ごみごみしてエネルギッシュで
なんとも不思議な町がありとてもいいと思われているのだという

秋葉原のごみごみした無秩序な様子などは
実に現代思想的なのだそうだ
平民の場所でありながら犯罪とも不作法とも暴力とも遠く
知的な遊びの満開の場所

それが秋葉原の無差別殺人事件で
いろいろなレベルで破壊されて残念だという

そういわれてみれば
六本木ヒルズや丸ビルは驚くようなことは何もなくて
理性があれば一部を見ただけで外延できる空間だけれど
ニュー新橋ビルはそんなものではなくて
隅々まで見ないといったい何があるのかよく分からない空間になっている

ニュー新橋ビルの場合には自己組織系ではなくて自己融解系かもしれないが

パリという町の問題点は一つは自己融解しない固い町ということなのかもしれない

いったん分解するから再組織化もできるわけだ