その人の不幸は最初は小さなものだった
弁護士と契約して
最初は裁判になるぞと脅していた
たいていの人は弁護士と裁判を恐怖するものだ
その恐怖を利用して相手を黙らせるのだった
しかし次第に明らかになったのだが
最終的に仲良くさせることが目標であったのに
決定的な破局を迎え
裁判は長引き
その人選は不幸なことに間違いだったと明らかになった
そして恐ろしいことに
依頼者はもっとも不幸になり
弁護士は最も裕福になった
それがこの世の小さな物語である
最初は小さな小川だったものが最後は揚子江になってしまう
そのように事件は変貌し
その間に家族の心はすさみ
今では怪談屋敷のようで
東海道四谷怪談も
怖くもなんともないレベルなのだ
そのようにY君から聞いている