たとえあなたが牢獄につながれていて、
牢獄の壁が世の中のざわめきを
すこしもあなたの五感に伝えないとしても・・・
それでもあなたにはやはりあなたの幼年時代という、
この貴重な、王者のような富、
この思い出の宝庫があるではありませんか。
そこへあなたの注意をお向けなさい。
このはるかな過去の沈んだ感動を
浮き上がらせるようにお努めなさい。
そうすれば、あなたの個性は強くなるでしょう。
あなたの孤独は広くなり、
次第にあかるい住まいになって、
他の人々のたてる騒音は
その住まいの遠くを通りすぎることになるでしょう
『若き詩人への手紙』 リルケ
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ただものではない