定年退職がたとえば60歳として
その後何をするかが大問題だというのが
団塊の世代のようだ
女子アナがダンコンの世代と読んでいたのを思い出す
麻生さんばかりではない
何でも好きなことをすればいいといわれても
無意味に何かをする気にはなれない
田舎暮らしを始めるとして
妻が賛成してくれるかどうかが問題らしい
会社とは関係のない場所で人間関係を新しく作るのは
プライドもあり大変なことだ
ここまで自分を築きあげてきたのにどうしていまさらと考えてしまうらしい
何も築いていない人のほうが新しい環境に飛び込みやすい
周囲の人間としても、
話すごとに私は昔……とやられたのではあまり話したくなくなる
家にいると妻に邪魔にされる
そのことも心を暗くする
相手にしてくれるのは犬くらい
まるでグールドのようで
グールドは妻がいなかったからかえって良かった
自由な時間があったら
何をしようかとあこがれ続けていたものだが
実際に自由になってみると
無駄な時間が続くだけでちっとも楽しくない
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多分そうなのだろう
退職すれば新橋などにも出てこなくなる
私の場合は定年のない仕事だから
体力が続く限りとも思うが
さしあたって冒険する気分でもないので現状維持である
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体が動かなくなり気力が衰える前に何かしたいという焦りの一方で
いい年をしてみっともないことをしてもいけないし
大失敗をしたら取り返しのつかない年齢だという自制も働く
60歳になってさあ冒険だといわれてもきつい
どうしたものか
現在を延長しようと思っても会社員としては難しい
会社員がすぐに何か自営業を始められるわけでもない
資本金もないし特殊な技能もない
年金生活になっても
妻の側は特に変わらない風景が続くらしい
妻はこれまでも消費者でこれからも消費者である
夫はこれまで生産者でこれからは消費者になる
この落差は大きい
銀行で書類を書かされると無職とか記入せざるをえない
寂しいものだ
身分証といっても特にないのでそれも心細い
性的にも活発とは言えない世代になるので
ちょうどいいパートナーも難しい
酒を飲んでも小遣いが続かない
テニスでもして楽しければいいのだけれど
そんなに性格のいい人間ではない
健康のためと思えばそれでいいが
人間関係はそれなりに煩わしい
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やりたいことは仕事
自由になったら思い切りしてみたいことは前職
それしか思い浮かばない元新橋のサラリーマンであった