筒井康隆が絶筆を宣言し実行し、
その後初めて書いた小説。
儀助は仏文演劇関係の教授職を退職、
妻も死んでひとり暮らしである。
特に何も起こらない日常の意識のあり方を、
食事、年金収入と支出、性生活、友人関係、パソコンライフ、その他にわたり、
詳述。
老人になるとはこのようになることなのかと
ため息をつかせる。
貯蓄と年金を考えて、かつ、現在の生活を維持するとすれば、
どの程度の年数堪えられるかを計算し、
その時が来たら、自分で命を絶とうと考えている。
その際の具体的な方法も記載し、
遺書の詳細も掲載している。
自分を笑い、老いを笑う、文学である。
微妙に力の持続がきかず、
老いているなあと感じさせる、
その文章の術に感嘆する。