鎌倉の桜

サイドカー付きのバイク。
サイドカーに座り、空を見上げながら走る。

思い出したのは鎌倉山の桜並木だ。
花見のドライブの途中で
鎌倉山中腹にあるパン屋で食パンと菓子パンを買った。

その近くの浄妙寺の分譲地のあたりは桜並木がきれいで
ドライブに好適だ。
そちらを走ったついでにメロンパンを買ったこともある。
浄妙寺の分譲地ではたまに売り物件がある。
駅から遠いのが難点である。
保育園が分譲地内にあり、便利そうだった。
パノラマっぽい風景になっていたので、
写真をたくさん撮ってあとで合成しようと思ったのだった。
結局やってはいないのだが、写真はある。

最後に行った鎌倉の桜はもう終わりで
八幡様の参道はぼんぼりだけが桃色だった
あのときはユニオンでバナナの焼き菓子を買って
そのあたりのウナギを食べた

また思い出す。
鎌倉の一等地にあった3億5千万円の家を見学に行った帰り道、
不動産屋さんの車に乗って134号線を走っていた。
夕方、車は渋滞していた。陽が海に沈むのを眺めながら、
波の音を聞いていた。
その時間の後に予定されていた不幸と試練を知らなかった。

その不動産は、庭にお金がかかっているらしかった。
とんでもないような庭石があり、家の回りに細心に木々が植えられていた。
植木屋さんに頼めばどれだけお金がかかるのか、
庶民の私には見当もつかなかった。

友達はいつも七里ヶ浜でウィンドサーフィンをしていた。
友達らの話をよく聞いた。
この海でウィンドサーフィンをしてバーベキューをやるのかと思って
眺めていた。

バーベキューはもちろん一般には禁止なのだが、
その場所を仕切っているサーフィンショップがあって、
そこの支配下にある連中ならば大目に見てくれているということらしかった。

その人たちは、鎌倉で過ごす日々を大切なものと思っていて、
……私たちの収入じゃあ、将来は住めないわ、と語りつつ、
一日一日、また季節ごとのイベントをとても大切にしているのだということが分かった。

川に舟を浮かべてみんなで漕いで、タイムを競う、ドラゴンレースというものもある。
急ごしらえのチームでいい加減にやるらしいが、
みんな仲がいいようだ。

その頃の桜の写真もいろいろとある
しかもわたしはずぼらでカメラの日付を間違っていて、
去年にすでに2007年になっていたので、
自動で日付通りに並べ替えてくれる
ソニー・ピクチャー・モーションでは、去年の懐かしい写真が出てきてしまうのだった。
ついこの間まで、今年は2008年だと思いこんでいた。

そんなわけで鎌倉の桜を思い出していた。
ただ最近は鎌倉市の税収が落ちていて、
新しい桜並木を整備するお金がないのだという。

知り合いの鎌倉のご婦人は、桜は好きだけれど、虫が付くのがいやなので、
庭に何本もあった木を全部切ってしまったのだという。
思い切りがいいというのか、その人のご家族は何かの病気かと疑ったらしい。