混合診療の全面解禁について
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規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船株式会社代表取締役会長)は11月27日、混合診療に関して厚生労働省との公開討論を行った。混合診療の全面解禁を求める規制改革会議側に対し、厚労省側は譲らず話は最後までかみ合わなかった。
規制改革会議は今後も厚労省と調整して12月中に第2次答申をまとめるが、松井道夫主査(松井証券株式会社代表取締役社長)は「われわれは基本的には妥協しない。最終的には政治決着となるだろう」と、安易な決着はしない決意を述べた。
厚労省は同日、規制改革会議が事前に提出した質問事項の回答書を提出した。混合診療の全面解禁について、回答書では
▽患者の負担が不当に拡大するおそれがある
▽安全性、有効性が確認されていない医療が実施されることで科学的根拠のない特殊な医療の実施を助長するおそれがある
―を理由に適切でないという従来の主張を繰り返した。
東京地裁が11月7日に混合診療の禁止に法的根拠がないとする判決を下したことについて、厚労省の水田邦雄保険局長は「裁判は混合診療の是非を判断していない」と述べた。これに規制改革会議の福井秀夫委員(政策研究大学院大学教授)は「判決では混合診療の禁止を違法と認めた。一審判決で確定したら混合診療の全面解禁はもともと禁止されていないことになる。確定したら何らかの措置をするのか」と、禁止に向けた方策を取るか尋ねたのに対し、水田保険局長は「仮定の問題にお答えする立場にない」と返した。
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規制改革会議の人々は、一体どのような治療を受けたいのだろうか?
Libertarianの主張のように、患者さんは完全自己責任で完全自由に治療を選択すればよいというのだろうか。
そして、治療法についての「格付け会社」を用意して、
○○の治療法は、値段××ならば、受ける価値あり、とでもするのだろうか。
普通に考えれば、必要な治療ならば、保険の範囲内に含めればいいだけなのではないだろうか。
その範囲を超えた治療については、
保険の範囲外で、考えてもらえばよいだろう。
通常考えて不必要と思われる治療を望むならば、
保険との併用は諦めればいいだけで、
道は閉ざされているわけではない。
混合診療を解禁として、保険外診療が増えれば、
医療側は収入が多くなり、
保険者側は支出が減り、
経済的側面ではいいのかもしれないが、
健康を守るという観点では問題が多いのではないか。
結局患者さんの支払いは増えるだろう。
混合診療解禁ということは、
保険外の部分は自費で支払うということではあるが、
結局、
保険外の部分は、民間保険でまかなうことになるということだ。
国民皆保険の基礎は残しつつ、
段階的に形骸化させていこうということらしい。
そんなことが大事なことなのだろうか。
規制改革会議の性格についてはさんざん言われていることで、
これだけ批判されても平気な人たちらしいが、
いまさらながら呆れている。
健康若年労働者が減少すれば、
健康保険制度がもたないのだと、言えばいいのに。
そして、経済界としては、年金の負担も、健康保険の負担も、いやなのだと言えばいいのに。
自分のところの会社員は高給取りだから、
老後の年金も医療費も、自分で自分の分を負担するのが有利なのだと言えばいいのに。
Libertarianみたいに、
金持ちから金を取って、貧乏な人のために使うのは、もういやだと、言えばいいのに。
言わなくってももうみんな知っているし、ほとほと呆れているのだから。