はかなくも
美しく散る
時なりけり
雪の降りたる朝(あした)
仕事を投げ出し
汝のもとに急ぐなり
漁師たちの雪の中出航するもあり
いさましく済まなくもあはれなり
海辺の町に雪降りて
白い世界の一室で
汝待つなり
雪の日の紐をほどけばいやましに
ほどける君の熱き香りよ
寒さゆえわずかのみ相見たりしが
寒さゆえなおいと熱き肌なりけり
血潮は溢れ我を充たせり
太古の行いもかくやある
狂おしく降り込められ
寒さによりてただ相副いて
睦む言葉のいくつかは
かつて聞きたる言葉なり
故郷を共にする女たちの
語るを聞けば
不思議にも
橋の名も街の名も店の名も
我は知るなり
床語りして
ベータ波を眠り
雪は雨になり我は帰る
東京の街は明るく
雑踏は我を覆面男になすなり
夢に思ふは
床語り
触れる温みよ
君が言葉のありがたさ
いつまでも
海馬に蔵したるなり