わたしはお料理が上手で、彼にお料理を食べてもらいたいので、
彼がどんな顔の女性のどんなスタイルの女性が好きでも問題ないわ。
どうせ歳をとれば、わたしはかわいさではかなわない。
頭もよくないから歳をとっても賢くなるわけでもない。
ただ毎日彼にお食事を食べさせてあげたい。
健康でいて欲しい、それだけなんです。
いいじゃないですか、きれいなドレスの似合う女性は素敵です。
絵とか美術品とか、あるいは、景色のようなものです。
わたしとは全く違う何かなのです。
私は彼の少しの体調の変化もわかるし
彼の小さな好みも心得ているし、
昔なら、家政婦といった立場だったろうと思う。
でも彼はわたしを家政婦にはしなかった。
正妻にしてくれた。
わたしはためらったが、彼の言いつけに従った。
そのようにして始まった、二人の生活だった。