パーティの席で、
短時間のうちにギュッと心をつかんでしまう人がいる。
不思議なものだ。
そばで見ていると、
心をつかんでいる人と、つかまれている人とが、
よく分かる。
みんなが知っている人でいえば、
森元総理みたいな感じ。
または田中角栄氏。
まるで10年ぶりだというような感じで
話をしている。
遠いけれど親戚みたいな様子。
とりあえず誰にしても、
故郷のこと、出身学校のこと、仕事のこと、
共通の知人がいて、そのひとからよく話は聞いているなど、
誉められるところを見つけて、
適当に並べる。
必要があれば、私もそのようにする。
しかしこの人たちはもう一段技が上なのだ。
親しみを演出する。
わたしはそんなタイプではないし、
他人の細かいことに特に関心がないので、
出来るはずのない芸当である。
秘密はよく分からないが、
生まれつきなのではないかと思う。
実際の対人距離は100メートルもあるのに、
なんとなく50センチまで接近しているような錯覚を与える。
人の心をたぶらかすのはこんな共通のメカニズムがあるのだと推定する。
関心がある、
尊敬している、
注目している、
尊重している、
期待している、
そんなメッセージを伝えている。
不思議なものだ。
これなら票も集まるはずだ。
パーティでの一場面。