「学校という組織怖い」不登校に

「学校という組織怖い」不登校に

 中学生の娘が、昨秋からだんだん学校へ行けなくなり、ここ3か月は家で過ごしています。医師の診断は「うつ病」でした。

 友達とゲームをしたり、カラオケに行ったりすることは出来ます。家族と外食に出かけたり、一人で買い物に行ったりもします。家では普通の生活と変わりないのです。

 母親と話し合い、「明日学校に行く」と言うこともあります。ところがその夜は眠れず、朝になるともう行けなくなります。訳を聞くと、「学校という大きな組織が怖い」と答えます。医師は「ゆっくり休ませて」と言い、担任の先生も「長い目で見ましょう」と言ってくれます。ただ、親としてはとてもつらいです。

 薬は続けて飲ませています。不登校になった原因が不明なので、どんなきっかけがあれば登校する気力がわいてくるのかわかりません。毎日悩み続けています。(東京・A男)

 

 不登校は一見したところ理由がはっきりしないことも多い。そういう場合、うつ病が原因ではないかと思われることも確かにあるんですが、お嬢さんの場合、カラオケやゲーム、買い物ができているし、ちょっとうつ病らしくない。

 逆にうつ病だと診断することで、子供なりの悩みがすっ飛ばされ、「うつ病の薬を飲ませておけばよい」と安易に処理されてしまうとしたら問題です。第一、子供のうつ病に薬が効くのかどうか、まだ結論が出てはいないんですから。

 ひどいいじめなどがあれば別ですが、不登校の背景にある心理として最も多いのは、親離れに対する不安なんです。つまり最初に接する社会である学校に漠然となじめず、巣立つことへの躊躇(ちゅうちょ)です。「学校という大きな組織が怖い」という言葉からは、それが感じられますが、これは大人の読みすぎかもしれない。もう少しこのコトバの意味するところを明確化したいですね。

 当人との話し合いがよくできている点はプラス要素ですから、あまり焦らず、ゆっくり話を聞いて、分かったことを専門家にうまく伝え、心理面での相談をすることの方が薬より大事でしょう。