人工妊娠中絶

日本では母体保護法第2条第2項により、人工妊娠中絶を行う時期の基準は、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」と定められており、厚生事務次官通知等により、現在は妊娠22週未満となっている(従って、人工妊娠中絶は人工流産とも呼ばれる)。

妊娠11~12週程度まで
日本では、頚管拡張後、掻爬術(独:Auskratzung)や産婦人科器具(胎盤鉗子やキュレット、吸引器など)で胎児を取り除く方法で行われる(英語で「拡張と掻爬」という意味で D&C(dilation and curettage)とも呼ばれる)。海外では、1980年代にフランスで開発されたミフェプリストン(RU-486)という人工流産を引き起こす薬が急速に広まり、2002年にはWHOも推奨する初期中絶の一方法になったが、日本の厚生労働省は2004年にこの薬の個人輸入を禁止した。最近では子宮外妊娠(頸管妊娠)の治療として、メソトレキセート(抗癌剤)の注入による自然流産の誘発等も行われている。

妊娠12週~満22週まで
この時期は胎児がある程度の大きさとなるため、分娩という形に近づけないと摘出できない。そのためラミナリアやメトロイリンテルなどで子宮頚部を拡張させつつ、プロスタグランジン製剤(膣剤、静脈内点滴)により人工的に陣痛を誘発させる方法がある。また妊娠12週以降は死産に関する届出によって死産届を妊婦は提出する必要もあり、日本の人工妊娠中絶の約95%が妊娠11週以前に行われている。

このように、12週まで掻爬だが、それ以後は分娩に近くなり、死産届を提出する必要もある。

同意書は必要?
中絶手術には本人と相手の男性の同意が必要です。
本人あるいは相手の男性が未成年の場合、病院によっては保護者の同意書も必要になりますので、
病院への問い合わせが必要です。
相手が分からない、相手と連絡が取れない、相手が海外などで同意書を作成できない場合もその旨を病院でお話してください。
このとき親身になってくれないようであれば他の病院へ行きましょう。

妊娠12週以降は陣痛促進剤を用いた特殊な方法になるため、所要時間は全く予想がつきません。
また、術後の出血の可能性も高いため入院の必要があります。

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母体保護法第14条
第1項 都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
第1号 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるもの。
第2号 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの。
第2項 前項の同意は、配偶者が知れないとき、若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者が亡くなったときには本人の同意だけで足りる。

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昔の優生保護法第14条は以下のような内容。
本人又は配偶者が精神病、精神薄弱、精神病質、遺伝性疾患又は遺伝性奇形を有する場合
本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が精神病、精神薄弱、精神病質、遺伝性疾患又は遺伝性奇型を有する場合
本人又は配偶者がらい疾患(ハンセン病)に罹っているもの
の中絶が認められる。