医療費を決定する要因は
病気の総量であるという議論・患者側要因と
医者数×給料であるという議論・医師側要因と、
厚労省の考えであるという議論・行政側要因とが、ある。
病気の総量を不調の総量とすると、
どの程度は我慢するのかが医療費を決定する。
病気の総量を自分では感じないが検査で見つかる項目も含めた要素が病気の総量を決定するとすると、
検査の精密さと診断基準が医療費を決定する。
医者は現在実際にいて、これまでの習慣でこれまでの給料を得ている。
いま現在の医者はいまくらいの収入は維持できるはずだと思うし、
後輩は先輩くらいの収入は可能だと思うから、
結局医師数×給料ということになる。
ここで医師数と言うのは、無論、パラメディカルの給料を含めたもので、
パラメディカルは実際高給取りなので、この部分が大きいのだが、
診療報酬を請求できるのは、医師の診療についてだけなので、
とりあえず医師数が問題になる。
働いている医師数を増やせば医療費は増える。
免許だけ持っていても、会社社長をしている人もいるし、引退している人、留学して勉強している人もいるので、免許数だけ数えても正確ではない。
厚労省の考え方で、
何を病気とするか、たとえば、メタボ基準、治療開始ガイドライン、
どのような補助をするか、たとえば自立支援、
施設運用をどうするか、たとえばベッド数規制、
薬剤の値段、診療報酬の細目、すべては厚労省が決定しているのだから、
総額コントロールは厚労省ができる。
また、患者さんの自己負担分を決定できるので、受診抑制することができる。
予防検診を進めることが医療費削減に役立つともいえるし、
検査で拾ってしまいその後ずっと医療費がかかるということもある。
どの要素も微妙にかかわりあう。
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完全に自由市場にしてしまい、
国家資格を持った医者もいるが、そうでない医者もいて、薬を処方できると仮定する。
医療費は全額自費として自由市場に任せる。
薬剤の許可なども国の責任ではなく、
製薬会社と処方する医者と飲む患者の自己責任とする。
嘘があったら事後的に処理する。
これがリバタリアン・モデルであるが、
国民は不安だし知識もないので、
取り敢えず民間医療保険に入ることになるだろう。
医者の窓口にもそんなパンフレットが並ぶだろう。
入らざるをえないように大量にテレビでコマーシャルするだろう。
コーヒー一杯分で万一の時には一日一万円とか。
もちろん株式会社が経営しているのでしっかり儲けていて、
あまりに儲かるから世界中で儲けたいというので、
日本の医療市場を変えたいと思っているのだ。
お金がないと政治家も動かせないしコマーシャルもできないが、
お金があるからできる。
いまの保険と民間医療保険の何が違うかといえば、
民間医療保険は、保険金から社員の給料を差し引いて、会社の儲けを残し、
その余った分を加入者に支払うわけで、
風邪なんだから抗生剤はいらないとか、
必要以上の延命はいかがかとか、
リハビリの効果はいつ出てくるのかとか、
いろいろと厳しいことを言い、
結局、儲けにならない部分は、契約からはずしてしまう。
そして特約事項にして、追加の料金を要求する。
医者は、その人の加入している保険内用以内での医療しかできなくなる。
お金持ちならば、その先の相談もできるが、
民間医療保険内での診療となれば、
保険会社の決めたルールに縛られる。
初診時でどんな症状があったら、
やっていい検査はこれ、
結果をみて、診断がこれだったら、この薬を何日以内、
それ以外は支払いをしないとくる。
現在、日本では、自動車保険は似たような仕組みだと思う。
自動車の修理と人間の医療と、
同じじゃないかという発想もあれば、
違うだろうという発想もあるだろう。
普通分娩は医療保険の対象外だから
未来の医療を予言しているが、
米国は300万円、日本は港区で80万円、名古屋で50~30万円である。
普通に考えて、
港区と鳥取では不動産経費とか人件費とかが違うのに、
診療報酬が全国一律なのも乱暴な話だと思う。
家賃や人件費は地域ごとの標準費で別立てで支払ってもらい、
医者の技術料を診療報酬で決めてもらいたいものだ。
都会の病院やクリニックは利益率が悪い。
新人医者もベテラン医者も同じというのは納得できないが、
ベテラン医者も最初は新人医者だったのだから仕方がないと思っている。
安い分だけ患者さんには感謝されるが。