歯科医の嘆き

歯科の事情についてはよく知らないのですが、
医科に先行して事態が悪化している様子。
意見をいくつか採録。

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歯科の先生方はよく黙っていらっしゃいます。歯科の診療報酬は呆れるほど安いです。受診者にとってみれば安い方が良いですが、限度を超していると思います。良心的に患者様の事を考えて治療にあたったら確実に倒産すると思います。 例えば抜髄など前後の処置を入れると1時間くらいかかると思いますし、その後の歯根の治療なんて良心的な先生は一回の治療に約一時間位かかります。そして窓口負担は1500円程度です。その後、保険で歯冠を作ったら2000円台? それで採算が合うとは思えません。そうするとどうするか? ある歯科医師は一回の治療にかける時間は五分にして「明日又、いらっしゃい!」適当な治療をした結果、齲歯が再燃し、やがて歯を抜くようになり、抜いた後に差し歯? ブリッジ? 入れ歯? にすると診療報酬は算定でき、最後にとうとう総入れ歯になるまで治療に通い、そうすると歯科医にお世話になるチャンスが殆どなくなります。もう一方は徹底的に治療をして、歯冠など自由診療のものを薦めて、そこでなんとか採算をとるケースです。全部保険診療で良心的な治療をやっていては、絶対に採算がとれません。

現在の診療報酬は完全に原価割れしております。そのため、手抜き、過剰診療を余儀なくされていると言っても過言ではありません。抜髄などはドクターフィーを計算すると時給670円とも言われております。厚生労働省の歯科系技官は、「歯科は自費も合わせれば赤字にならないのだから」「トータルで経営できればよい」などと保険制度そのものを蔑ろにした発言を行っております。まじめな歯科医院から潰れていき、手抜き・過剰診療を行っている歯科医院だけが生き残りつつあるのが現状です。サービスの内容を完全には把握できない専門的で、かつ自分の意志とは関係なく罹患する疾病を扱う医療に自由競争を持ち込めば、どうなるか、と言うことです。また歯科が何とか生き残っているのは、歯科技工料のダンピングによって成り立っているのも事実です。労働環境、時間など最悪の状況にあり、若者の離職率は70%に達し、結果として中国などの素人が、由来の不確かな金属を使って、日本人の口腔内に装着される医療器具を製作することになりつつあります。しかし、正当な技工料を支払おうとしても、その半分にも満たない保険点数では如何ともしがたいのも事実です。これは歯科医師の過剰が原因ではありません。そもそも原価計算など全くせず根拠のない点数改定が原因であり、また歯科医師性悪説に基づく療担規則が最大の原因です。