モンテーニュの試みは、
自分のすべてを詳細に記録するということだった。
それを言葉で記録したから、言葉の世界が大きく広がった。
それはそれでいいのだけれど、
現代では、多分、映像を記録したいという人が登場するだろう。
現代のモンテーニュ氏は、
生まれた瞬間から、死の瞬間まで、
その人を被写体として、すべての時間を記録するという「試み」に
乗り出すのではないか。
ブルーレイディスクで何枚になるのだろう。
ビデオカメラを持つ人は誰なのだろう。
トイレもフロもどんな場面もすべて撮影するだろうか。
もちろん、その方針でトライする。
いまから始めたとして、70年後くらいには、
その最初の人間が登場するだろう。
行動は、話した言葉を含んで、全部記録できるはずだ。
頭の中で考えたことは、文章にして残してもらう。
生理的指標として、血圧、脈拍、その他、測定の簡単なものについては、
記録しておいた方がいい。
そしてそれを研究材料として、
またいろいろなことが解明されるだろう。
モンテーニュのようにいい人生になるかどうかは、よく分からない。
でも、試みる価値はある。