ゲーム脳の恐怖

ゲーム脳の恐怖 森 昭雄 NHK出版 2002年

ファミコンが家庭に普及して20年になる。
ゲームのせいでいろいろと不都合が起こっているのではないかと疑われていて、
この本は強いインパクトを与えた。

テレビゲームをしているときの脳波を測定すると、
前頭前野でのβ波の減少が見られ、
これはソフトウェアエンジニアの脳波、さらには認知症高齢者の脳波と共通であるとの知見が提出されている。

ソフトウェアエンジニアは画面ばかり見ていて
脳が視覚情報処理しか行っていないためではないか。
そして、画面に向かっている時間が長いと、
価値判断を停止し、言語的思考もせず、同僚との対話も乏しく、
結果として脳のきわめて一部しか使っていない状態になるのではないか。

認知症高齢者の場合は
おそらく感覚機能の衰退も手伝って、
ごく一部の脳機能しか働いていない状態になっているのかもしれない。

これらとテレビゲーム脳が共通の状態にあるというのも
頷けることではある。

結果として、ゲーム脳の子供たちは、
キレやすく、自己抑制力に欠け、コミュニケーションスキルに劣る。

むろん、ゲームの種類によって、脳の機能制限も変わってくる。

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β波が少なくなっているという点だけで、
ソフトウェアエンジニアと認知症高齢者とゲーム脳をまとめて
「共通の状態にある」と言っていいのかという点は
大いに問題で、疑問がある。

ある種の集中状態であるとは言えるのだろう。
何かに無心で取り組んでいるときβ波はたくさん出るような気がする。
認知症高齢者も何かに集中しているのだろうとかと考えてしまう。
そんなはずもないと思うが。