自分のことは自分が一番よく知っているというものでもない

わたしがよく知っている人間でも、
ときには、まるで知らない人間に
なってしまうことがあるものだ。
わたしがよく知っているのがほんとうのその人なのか、
わたしの知らないのがほんとうのその人なのか 
 『久助君の話』 新美南吉

「ごん狐」で有名な新美さん。

この場合は、本当のその人というのは、
いろいろな人から見えたその人と、
その人が自分のことを思っているその人と、
それらの総和であって、
自分のことは自分が一番よく知っているというはずもないのだと思う。

自分の背中を一番よく見ているのは
妻であって自分ではない

自分の背中も見たことがないくせに
自分について自分が一番よく知っているなどと
言えるはずがないと思う。