外来臨床でうつ病の様子を見ていると
どうもメランコリータイプではない
どちらかといえばディスチミア親和タイプなのだけれど
区分していえば
病前性格としてはナルシスティックな成分の多い人が増えているのかという感じがする
これは日本人全般にという印象では勿論なくて、
普段接する範囲でということなのだが
そんな興味で論文をいつくも当たってみると
そんな印象を書いているものは多い
元をたどるとやはり小此木先生などが精力的に紹介していた
何人かの人に行き着くのだけれど
しかしそれらの発達理論はやはり実証性に乏しい
現状の観察としては
うつとナルシズムと現代社会が関係しているとは何人もの人が言っているのだが
どのように関係しているのかははっきりしない
むしろ、最近の変化や大きな印象を残した出来事を
情報化社会やコンピュータやネット社会、そしてゲームマシンに直結しているようで、
これもまったく実証性に乏しい
電子レンジでも核家族でも、冷凍食品やレトルト食品でも、
テレビでもビデオ、ゲーム、騒音、自動車、何でも結合させられるだろう。
しかし実証する方法も思いつかないし
実証しなくても別にいいやとも思う
証明してもしなくても現実はあまり変わらない
おおざっぱに言うと
教育者や小児科関係の人たちは環境要因を重く考えていて
育児やネット・リテラシーなどで啓蒙が必要だとかなり強力に語っている
整形外科関係や脳波関係の人たちは測定したがるので最近の傾向の結果は出るけれど
因果関係は分からない
精神科関係は人格発達論に関係づけるが
肝心の発達論が発達途中である
最近の社会の変化と子どもの変化と大人の病気の変化が
一体のものとして見えるのだが
因果関係が分からない