ネット社会とハリネズミの針の長さ

ハリネズミの比喩というのが心理学では有名で
小此木啓吾先生などは
概ね次のように書いていると私は理解している

生まれたままの母子一体の状態では
ただ暖かいだけで母親の針は感じられない

父親と接触すると確かに針を感じて一方では暖かさも感じる

社会に出ると一般にどんな人でも針の痛みと暖かさと両方がある

ハリネズミは一人でいると寒くて仕方がないので
誰かとくっつこうとするが距離を縮めると針が刺さってしまう
痛いのではなれる
寒いのでくっつく
こうしてちょうど良い距離に落ち着く

ハリネズミは一匹一匹
針の長さと寒がりの度合いが違うので
自分にぴったりあった人を選んで
友達になりパートナーになる

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他よりも針の短いハリネズミは他のハリネズミに刺されやすい
他より寒がりのハリネズミも他のハリネズミに刺されやすい

こんなもんだと思って世の中を渡って行けばいいけれど
がっかりした場合には引きこもることになる

引きこもると母と子の幻想は破られ
母親は長い棘で追いかけまわす

引きこもると普通は寒くて仕方がないので
また出て行って誰かと会うのだが
最近ではネットがある

掲示板、チャット、オン・ライン・ゲームなど
他のハリネズミの針を感じないままで
暖かさだけを感じることができる仕組みが出来ている。

もちろん針を感じる瞬間はあるのだが
それでも現実の傷つきよりはいいらしい

特に別名で別人格で活動しているときには
傷つきは部分な的なもので抑えられる
つまり一時的で部分的なアイデンティティは傷ついても一時的で部分的である

赤ん坊の頃のママの代わりというのが
ネットの役割といえるだろう

引きこもりをしている人はまるで
ヌードマウスのような針の長さで
ハリネズミとはいえないくらいだ

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しかしさらに思うのだが
そのような人たちが存在したとして何かいけない理由があるだろうか?

生産に従事しない?
そのうちネットでコンピュータ講座を開き、
職業としてのコンピュータ技術を教えるようにすればいい。
彼らはゲームのようにして習得してくれるだろう。

子供を育てない?
確かにその点が一番の問題であるが、
それは国家にとっての問題であって、個人にとっての問題ではない。
今でも10組に一組は子供がいない。
それなら彼らに何かを期待するよりも、
それ以外の人たちにもう一人だけ多く産んでもらった方がいいだろう。

一人っ子は次の世代でもせいぜい人と李っ子かもしれない。
五人兄弟の一人ならば、次の世代でも五人生むかもしれない。
と言うことは、25人になるということだ。
せいぜい一人しか子供を産まないような人を一人育てるよりも、
五人くらいを産みそうな人を五人育てる方が国家運営としては有利だろう。
だから引きこもりの人の生殖は気にしなくてもいいだろう。
バーチャルな恋愛をしていてもいい。
気にしないことだ。

そう考えると、彼らが引きこもりのままで、ネット社会に没頭していて、
いけない理由はあまりないような気がする。