ある患者さんがいて、
年をとってから、部下を怒ったあと、
胃が痛くなるようになった。
家で妻を起こったあとも、胃が痛くなった。
もっと性格が強くならなければと思っていろいろと試したがだめだった。
相談に来て、薬を使い、心理療法を続けていた。
そのうち心境に変化が生まれた。
自分の症状を細かく観察すると、
相手を怒っているうちに、胃が痛くなる前に、
胃がむかむかしてくることが分かった。
そこで、相手を怒っていて、胃がむかむかしてきたら、
その時点で怒るのはやめるようにした。
代わりに、事務時に具体的な指示を与えるか、
最終目標を簡潔に言うにとどめた。
自分の胃を守るためだった。
しかしそのあたりから組織はうまく回り始め、
各自がやる気を持って励んでくれるようになった。
結局、怒らなくてもいいようになった。
本当はもう少し微妙で、こうして省略して書くとおとぎ話のようになる。
しかし、行動の習慣を変えることで少なくとも二つ、いいことがあった。
症状が消えた。周りと仲良くできるようになった。
ワンマン社長が今では人格者である。