何かで読んだ話。
昔日本の農村では耕作地を相続させる関係で、
長男だけが大事だった。
あとは本当は要らないのだが、
長男にもしものことがあったときのために次男がいれば良かった。
長男にもしものことがあったとき、長女がいれば、婿取りもできた。
待遇は長男だけに手厚い。ほかはあくまでもスペアである。
さて、それぞれが成長して、長男が無事すべてを相続すると、
次男は都会に出てサラリーマンになる。
長女はどこかに嫁いで生活を始める。多少の嫁入り支度をしてあげる。
そのようにして都会というものが形成される。江戸の街はそのようにしてでき
た。
もしもの時のスペアとしてだけ育てられた。
長男が確実に育つと分かっていれば、間引きしただろうというのである。
成長した後では必要がないので江戸で暮らせということになる。
江戸では女性の割合が少なく、男性が多かったとのこと。
そのように考えると、田舎こそは何代も続いて、エゴイスティックに相続を繰
り返し来た人々の子孫なのである。
江戸で住み始めたのは故郷で住む場所のない男たちであった。
しかしそんな習慣も、戦後の憲法で相続の制度が変わり、みんな平等になっ
た。民法も変わり、長男は子どもの一人でしかなくなった。
そしてそのような変化は遠い昔のことではない。
今中国では、たぶん、そのような状況が起こりつつある。
戸籍上存在し、人権を認められた子どもと、戸籍上は存在せず、人権も教育権
も何も認められない子どもとがいる。第一子が問題なく成長したら、第二子は
自動的にいなかったことになってしまう。
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日本の地方が破壊されているというのは、
農業破壊でもあり、
同時に家制度や家族制度の再度の破壊でもあるらしい。