新しい理論と言葉

フロイト先生の話だけでも難しくて大変なのに
次々にいろんな人がいろんなことを言い続けていたし
そのうちに精神分析は下火になり
脳科学ということで神経伝達物質が様々にいわれ
また次の世代がいろんなことを言っていて
最近はアメリカ風で頭文字をつなげて新しい短縮語を作るから
ややこしいしよく読まないと意義が分からないようなものが多くて
よく分かっていないのに次のが出てきて
まったく持って消化不良なのだが
次々に新しい概念で新しいことをいっていないと商売にならない筋の人もいるので
仕方のないこととは思う

ただ心の手当をするのなら昔風の諸子百家でも朱子学でも老子でも
また陰陽五行説でも易教でも結構足りる。
神主さんでも坊さんでもそれなりに癒しをしていたと思うし、
漢方薬や鍼灸でも役に立つはずだ。
しかしそれでは新しもの好きの心を捕まえられないから、
どんどん新概念で古い内容を翻訳し続けている。
寂しいから胸が痛くなる、縮めていえばそれだけのことだ。

ストレス脆弱性、ドーパミン、セロトニン、ダウンレギュレーション、EBM、アドヒーランス、QOL、認知行動療法、最近ではグルタミン酸、レジリアンスとなっている。
毎年新しい話題があり新しい講演者がいる。

毎年のように新しい歌謡曲があるようなものだ。
新しい感情があるわけではない。

どれも産地偽装のウナギと似たようなものかといいたくもなるが
安物でもウナギならいいのだろう。
歌もどこかのリズムを取り入れて日本語風にアレンジすればできあがりらしい。

甘えなどという言葉になってはじめて
簡単な翻訳を許さない固い輪郭を持つものになるのだろう。

しかし彼ら秀才は新しい概念を見つけてきて紹介できるだけ頭がいいのであって、
それを聞いているだけの凡人とはやはり違うのだ。

いつの間にか論文を審査する側と審査される側に分かれている。
それが世の中というものだ。