自己愛を保つためには現実を否認するしかない。
一体肥大した自己愛はそれ自体が現実を見ないようにする防衛作用になっている。
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もともと現実と釣り合わない大きすぎる自己イメージを持つことが自己愛の肥大である。
幼児期にはそれでちょうどよくて、
母親の庇護から離れて外の世界を体験するとき、
そして父性像に触れるとき、
現実を受け容れて自己愛を縮小して訂正してアイデンティティに変えていく。
父性像なく、
母の庇護が続き、
都合の悪い現実は否認するとき、
子どものままだということになる。
家庭内では
父親は母親と同質になり、
学校や世間に対して庇護的であり、他罰的である。
そして都合の悪いことは言葉で幻想・嘘を作り出して現実をねじ曲げておく。
国家規模では
米国・米軍の庇護の下、
表向きの表明と、内向きの本音を使い分けて、
少しずつ現実をねじ曲げて過ごしてきた。
どう見ても、幼児的自己愛の幻想から醒めて、
大人のアイデンティティの世界に入るべきだと思う。
現実を受け容れたところで、なにもその人の存在そのものが脅かされるわけでもないのだから。
それなのに、逆にさらに自己愛を肥大させて、さらに激しく現実を否認しようとする人たちもいる。
これはおおむね裕福であったり、安定していたり、自己の現状を変化させたくない人たちに顕著である。